世界教会協議会(WCC)中央委員会は7日、「日本国憲法第9条の再解釈についての声明」を発表した。
声明は、日本国憲法が長年にわたり、世界中から「平和憲法」として称えられてきたと指摘。その上で、安倍政権がその解釈変更を決めたことについて、「多くの世界諸国にとって模範であり続けた平和の遺産に反する」「国際的に深刻な結果もたらす」などとして、「重大な懸念」を表明した。一方で、「日本が、同盟国や敵対国からの圧力に屈するのではなく、北東アジアの安定のために指導性を発揮すること」を求めた。
WCCは、世界110カ国以上から約340の教会・教派が所属する世界的なエキュメニカル組織。加盟教会・教派に所属する信者数は5億人を越える。中央委は世界各国の代表150人で組織され、2年に1度開催される総会の間、最高執行機関としてWCCを運営している。
今回の声明は、2日から8日まで本部があるスイス・ジュネーブで開催された中央委で決議された。
声明では、戦争放棄をうたう日本の平和憲法は、「第二次世界大戦後の日本が、過ちを繰り返さないことの誓い」だとし、「平和を愛する国としての、戦後日本のイメージは、長年にわたり外交的な財産となり、その非軍事的貢献は、世界の至るところで積極的に受け止められてきたのです。平和的政策は、日本が近隣諸国との関係を再び広げ、またこの地域における紛争を防ぐことに役立ってきました」としている。
一方、1日に集団的自衛権の行使容認が閣議決定されたことについては、「平和を愛する日本の人々、日本の諸教会にとって、集団的自衛権の行使を認める決定は、 法を踏みにじる行為以外の何ものでもありません。それは、明らかに日本国憲法によって禁じられているのです」としている。
その上で、中央委は下記の5点を挙げた。
- 日本政府が、日本国憲法第9条を再解釈もしくは変更しようとする方向を主導的に示していることに対し、またそれが、この地域の安全、同憲法が禁じてきたことによって提示されてきた建設的な範例、また、世界の平和と非暴力に向けた諸努力に与える衝撃に対して、重大な懸念を有していることを表明するものである。
- 日本政府が、紛争を解決する手段として非暴力を堅持する日本国憲法第9条の文言及び精神の双方を尊び、大切にすることを勧告する。
- 日本政府が、「平和憲法」に従い、北東アジアにおける近隣諸国の非軍事的な集団的安全保障合意を構築するために働くよう促す。
- 日本政府が、自国の憲法9条を変更、あるいは再解釈を求める外的圧力におもねることがないよう奨励する。
- 世界教会協議会に加盟する全教会が、平和を愛する日本の人々と、日本の諸教会の闘いに、祈りの内に寄り添うよう、招く。