【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は7回目の国外巡礼旅行として3日間の日程でオーストリアを訪問、7日ウィーン国際空港に到着した。空港にはハインツ・フィッシャー大統領やウィーン大司教のクリストフ・シェンボルン枢機卿ら各界指導者が出迎えた。歓迎式典で、教皇は、巡礼の目的を"オーストリアの母なる心"北部の聖地マリーアツェル訪問にある、と語った。同地にある聖母マリア聖堂は創建850年を迎える。
雨天のため歓迎パレードは行われなかった。教皇は、市内ユーデンプラッツ(ユダヤ人広場)にあるホロコースト(ナチによるユダヤ人大虐殺)記念碑に向かい、パウル・カイム・アイゼンベルグ主任ラビ(ユダヤ教教師)らの出迎えを受けた。記念碑の前で黙祷した教皇は報道陣に「ユダヤ人に対する我々の悲しみ、悔い、友愛を示すものだ」と語った。ホロコーストではオーストリアのユダヤ人6万5000人が殺害されている。
ホフブルグ宮殿で開かれた政界、外交陣の歓迎式典で演説した教皇は、堕胎と積極的な安楽死に反対し、堕胎は多くの国で許可されているとはいえ、今なお不当である、と述べた。さらに教皇は演説の中で、ヨーロッパが持つキリスト教基盤を否認しないよう訴えた。