イスラエル北部、ヨルダン国境近くのレホブから約3000年前とみられる養蜂場の跡が、今年夏、ヘブライ大学の調査で発掘された。聖書は、神が契約の民に与える約束の地を「乳と蜜の流れる地」と記している。蜜蜂の飼育に関する記述がないため、これまで「蜜」はナツメヤシなどから作られたものを指しているとの考えが有力であったが、今回の発掘により、当時からイスラエルで蜂蜜を生産していた可能性が出てきた。
養蜂の記録はこれまで、紀元前2000年頃の古代エジプトの神殿の壁画や古文書から読み取ることができたが、完全な形で蜜蜂の巣箱が発掘されたのは今回が初めて。調査によると、養蜂場はソロモン王やイスラエル統一王国の南北分裂があった紀元前10〜9世紀のものだという。
巣箱は日干しレンガと同じくわらと粘土でつくられており、片側に蜜蜂が出入りする穴、もう一方には蜂蜜採取用と見られるふたが付いた穴がある。今回30以上の巣箱が発見されたが、当時は全体で100近い巣箱が3層にも並べられ、約500キログラムの蜂蜜が採取可能だったと推測されている。