昨年末から激しい紛争が続く南スーダンの状況はさらに厳しくなり、現在490万人に対し人道支援が必要とされているという。キリスト教主義の人道支援団体・飢餓対策機構(FH)は、これまでに国連機関などと協力し、同国の避難民約9千家族に対して支援を行なった。
日本国際飢餓対策機構(JIFH)は3日、FH南スーダンからの報告を発表し、食料や水、衛生、教育といった様々な分野で避難民へ対する支援を行なっていることを伝えた。
FH南スーダンは、JIFHや国連機関と協力し、同国の上ナイル州、ジョングレイ州、レイ州で支援を行なっている。とうもろこしやソルガム、豆やピーナツといった食料を配布し、農具や成長の早い野菜の種も配っている。また、国連との協力で、穀物や豆、油、塩のパックも配布したという。
さらに、避難民の多くは最低限必要な生活品さえも持たずに逃げているため、国内避難民の5030家族に対して、ポリ容器や洗面器、石鹸を配布。また、350の共同トイレと手洗い場を設置した。川から水を汲み上げるためのポンプも購入し、貯水タンクとともに難民キャンプから500メートル以内の場所に設置した。
上ナイル州とジョングレイ州では、ユニセフ(国連児童基金)と協力し、難民キャンプ内に子どもたちが学ぶ場として、26の教室を建設。1教室当たり60人の生徒が学んでいるという。また、レイク州では、教室建設のほか、紛争による子どもの心のケアをする教師の訓練も行なっている。
この他、平和、ジェンダー、子どもの権利などの平和教育を現地コミュニティーの指導者に対して行なっているという。
JIFHは、「陸路に代わって川を利用することも危険になり、5月現在ではヘリコプターや国連の飛行機、チャーター便などで空輸するなど、できる支援が限られてきています」と現状を伝え、「今も更に困難の中にある人々の必要が満たされるようご支援と共に、1日も早い平和の訪れをお祈りください」と呼び掛けている。
南スーダンは、2011年7月にスーダンの南部が分離独立して誕生した世界で最も若い独立国家。それまでスーダンは、北部はアラブ系イスラム教徒、南部はアフリカ系キリスト教徒がそれぞれ多く、対立が続いていた。南部は6年近くの暫定自治を経てようやく独立を達成した。だが独立後、サルバ・キール大統領とリエク・マシャール副大統領の対立により、昨年12月中旬から内戦状態となっている。
今年1月、5月、6月の3回にわたって停戦合意が行なわれたが、いずれも完全な停戦には至らず、現在も戦闘が続いている。
5月の停戦合意時には、世界教会協議会(WCC)中央委員会議長を含む教会指導者らが合意書の署名に立ち合うなど、キリスト教会が両者の和解に関わってきた。