スーダンの控訴裁判所は23日、キリスト教徒の夫と結婚し、自分はイスラム教徒ではないとしたことで、「姦(かん)通」と「背教」を理由に死刑と鞭打ち100回を宣告されたキリスト教徒のメリアム・ヤヒア・イブラヒム・イシャグさん(27)の釈放を命じ、第一審の宣告を却下した。同国国営のニュースメディア「スーダン・ニュース・エージェンシー」(SUNA)が同日に報じた。
「北ハルトゥームの控訴裁判所は月曜日にアブラール・アルハディ・モハメド・アブダラ囚人の釈放についての判決を下し、アル・ハッジ・ユーシフの第一審によって以前に下された宣告を却下した」と、SUNAは伝えた。
同国駐米大使館は、「スーダン政府の公式記録が示すところでは、この事件でメリアム・イブラヒムと呼ばれている女性の本名は実は『アブラール・ムハンマド・アブダラ・アブガディーン』であり、彼女の名前がメリアム・イブラヒム・ヤヒアに変えられたことを示す公式記録はない」としていた。
一方、AFP通信が先週入手したローマ・カトリック・ハルトゥーム大司教区の声明文によると、イブラヒム夫人は、スーダン東部のゲダレフ州で1987年11月3日に生まれ、スーダン人のイスラム教徒の父親とエチオピア正教のキリスト教徒の母親の娘であると、英国のデイリー・メール紙が報じた。
SUNAによると、同控訴裁のこの判決は、「女性の防護のための委員会」と呼ばれる組織によって行われた請願を審理した後に下されたという。
「第一審裁判所はアブラール・アルハディに対する宣告を、彼女がイスラム教に対して背教をしたという容疑に基づいて行ったことを想起すべきである」とSUNAは記した。
スーダンに関する英文ニュースメディアである「スーダン・トリビューン」は23日、「北ハルトゥームの控訴審は、彼女の弁護側によって提出された請願を経て、ハッジ・ユーシフの第一審裁判所の判決を覆し、アブラール・ハディ・モハメド・アブダラ(別名:メリアム・イブラヒム)囚人を釈放する判決を下した」とSUNAが述べたと報じた。
スーダン・トリビューンによると、彼女の弁護士はその後、当局が彼女を拘置所から釈放したと述べたという。
デイリー・メール紙が報じたところによると、彼女の弁護士であるエルシャリーフ・モハメッド氏は、彼女は「自らの保護と安全のために滞在する未知の家に」送られたという。「彼女の家族は以前に脅されたことがあり、私たちは誰かが彼女に危害を加えようとするかもしれないと心配している」と彼は述べた。
南スーダン系米国人でカトリックである夫を持ち、二人の子どもの母親であるイブラヒムさんの事件は、彼女に対するスーダンの処遇をめぐって国際的な非難が起こった。5月にイブラヒムさんがスーダンの獄中で二人目の子どもを出産した後、イブラヒムさんに裁判所が死刑執行をするまでの時間は2年間と定められていた。しかしイブラヒムさんを釈放しようとする国際的な圧力が功を奏したと、ある人権活動家がデイリー・メール紙に語った。
「スーダン政府はメリアムさんに庇護を許可するか、または彼女がすぐにアメリカに来ることができるようにする必要がある」と、宗教に対する抑圧の問題に取り組む運動団体「ハードワイアード」のサフワン・アボベイカー氏は述べた。
一方、世界福音同盟(WEA)は23日、イブラヒムさん釈放の知らせに喜びを表明した。「神が多くの人々の祈りに応えてくださったことに、私たちは感謝するとともに、やっと再会できる彼女の家族とともに喜んでいる」と、WEAのジェフ・タニクリフ総主事は述べた。「クリスチャンであるというだけで容疑をかけられて死刑を言い渡されるというのには、深く失望させられる」と語った。