2014東京ジーザス・フェスティバル(日本フルゴスペル教団主催)が6日、東京千代田区の日比谷公会堂で開催された。主講師として韓国の汝矣島(ヨイド)純福音教会の創立者、チョー・ヨンギ牧師が壇上からメッセージを語り、癒やしの祈りを捧げた。
休日の朝10時前、日比谷公会堂の外には開場を待つ長い行列ができていた。人の流れを整理する男性スタッフはみな純白のジャケットを着こみ、「こちらが最後尾です」と誘導する。エントランスに立つ女性たちはイベントロゴ入りの色違いTシャツ姿で「ハレルヤ」と声を発して迎えてくれた。
一時は300mほどになった列は整然と進み、1929年竣工という歴史ある公会堂の石階段を上って会場に入る。入口で手渡された封筒の中には、プログラムと献金袋と小さな韓国国旗。日本の日の丸が入った封筒もあるようだ。座席に着いて後ろを振り返ると、収容2000人を超える会場は満席に近い。
開演は10時30分。神奈川県大和市から教会バスでやってきた大和カルバリーチャペルのアンサンブルと聖歌隊が「主の愛が今」などを歌い、オープニングを明るく盛り立てる。続いて同教会の大川従道牧師が講壇に立ってメッセージを取り次いだ。
大川牧師はまず、4月16日に起きた韓国の海難事故について触れ、「国難と言ってもいい重大な事件で、今はわからなくても『マイナスは必ずプラスになる』と信じましょう。受難週に起きたことであり、偶然ではなく神様は何かを計画しているのです」と語った。
「イエス様は、クリスチャンになればすべてが楽になるとは教えませんでした。私たちは愛の十字架をかつぐ。韓国人であればこの十字架を負わなければならない。国のいろいろな問題が見えていて、それをかつがないわけにはいかない。日本も様々な問題を政治家任せにせず、祈りを持って十字架をかつがなければなりません」
大川牧師は、6年にわたる無実の裁判トラブルに巻き込まれた自らの経験についても話した。「みんなに悪口を言われ、新聞に書かれ、落ち込みました。しかし、神様は教会をテストするのです。神様は私の魂を守り、教会を支えてくださいました」。それを受けて、ピリピ4章4節から「いつも主にあって喜びなさい」「寛容な心を示しなさい」と説いた。
純福音東京教会の賛美チームによる合唱では、事前に配られてあった日韓両国の国旗を来場者みんなで手に持って振り、両国の協調とリバイバルのための祈りがなされた。
午後の部にチョー・ヨンギ牧師が登壇した。創世記12章でアブラムが神に召し出されたことを挙げ、「彼が神を求めたのではなく、神が彼を求めた。同じように、ここにいる皆さんが神様を発見したのではなく、神様が皆さんを見つめていた。招きによって十字架のもとに神様に会うことができた」と語った。
創世記15章で、子が与えられず絶望していたアブラムに、神は天の星を数えるように言い、あなたの子孫はあのようになると教えた箇所を引用し、「心に夢をいだいた時に信仰は湧きあがってくる。信仰とは夢があるところに芽生えるもの。もう自分は絶望だと言う人には信仰は生まれない」とした。
「十字架のもとでイエス様を見上げた時、罪ゆるされたことを皆さんは悟ることができるはずです。罪が清算され、病癒やされ、のろいから解放されたことがわかるのです。陰府(よみ)からよみがえってすばらしい命を得たこと、キリストの内にあって新しい人になったことを見つめてください」
さらに、いま多くの人が自分を卑下し、自身を責めて生きていると指摘。「自分自身を踏みにじり、迫害しながら生きている人がいます。しかし、これからはもっと創造的な告白をしていかなければ」と説く。
「私は癒やされた。私はもう弱くない。人を助けることもできる。そのように、自分自身を肯定し、神様がしてくださったことを思い起こしてください。与えられたよいものは感謝し、悪いものはよくなると信じて告白するのです。最もすばらしく、力ある祈りは、感謝の祈りです。神の力を信じれば、家庭に、教会に、社会に、変化が生まれます」
「聖霊充満」のジーザス・フェスティバルは、拍手と感謝のうちに終了した。
チョー・ヨンギ牧師は2013年6月、汝矣島純福音教会に約157億ウォンの損害を与えた背任の疑いで在宅起訴され、今年2月に懲役3年、執行猶予5年、罰金50億ウォン(約4億7500万円)の判決を受けた。
この判決からそれほど時を経ておらず、チョー牧師は悔い改めをしたのか、したとしても講師として招かれて語ることは自粛した方がよいのでは、との声も一部で上がっていた。
一方、チョー牧師がジーザス・フェスティバルのために来日するなら、在日信徒の前で釈明ほか何らかの言及をするのではないかとも考えられていたが、今回、チョー牧師が事件について触れることはなかった。