県内現役最古の木造教会で今年2月に全焼した、長崎市の江袋カトリック教会の復旧を推進する「江袋教会復旧委員会」の初会合が20日、長崎市橋口町のカトリック長崎大司教館で開催された。現地で調査を担当している専門家は、焼損の程度が予想より深刻でなかったことや、建物の詳細な記録が残っていたことから「かなり正確に復元できる」との見解を示した。来年4月以降から復元のための工事を進める方針で、2年以内の完成を目指す。
江袋カトリック教会は、1882年(明治15)建造で、現役の木造教会としては県内最古。五島出身の最初の司祭で、鹿児島の教会を開拓した島田喜蔵神父が初のミサをささげた記念の教会としても知られる。木造単層屋根構成で、変形寄棟造りの屋根が特徴。新上五島町教委が今年4月、町文化財への指定を決めた。
同教会を所有するカトリック長崎大司教区は、「長崎の教会群を世界遺産にする会」との協力で、復旧のための記録集「江袋教会の調査記録」を今年6月に発行。また「江袋教会復元基金」を設け、復元作業への協力を呼びかけている。