童話の「うさぎとかめ」は、二つの人生観を表していると思います。「ナンバー1志向」と「オンリー1志向」です。
「ナンバー1志向」を持って生きているのがうさぎです。うさぎの目標は、「ナンバー1」になることにありました。この場合は、かめに勝つということです。勝ちを確信したうさぎは、途中で昼寝をしてしまいました。
「オンリー1志向」を持って生きているのがかめです。かめの目標は、理性的に考えたらうさぎに勝てっこありません。しかし、「オンリー1」を目指しました。自分のベストを尽くしました。
この勝負は、「オンリー1」を目指した「かめ」に軍配が上がりました。
私たちの人生にも、この二つの人生観があります。「ナンバー1志向」は、とにかく勝って一番になることを目指します。それは素晴らしい向上心であり、決して悪くありません。しかし、そこだけに目標を持つならば、うさぎのように、途中で油断したり、勝てば得意になり、高慢になります。反対に負けたら劣等感に押しつぶされて、自暴自棄になってしまいます。
オリンピックでは、他の誰かと勝負して一番になることは重要な場合もあります。しかし、同時に持たなくてはいけないのが、自分との勝負であり、自分のベストを尽くすこと、つまり「オンリー1志向」です。
かめにとっては、陸上は自分のテリトリーではありませんでした。これが反対に、水中ということになったら、うさぎのテリトリーではありません。しかし、そこで「自分が得意とする場所ではないのでやる気にならない!」とは言わないで、自分のベストを尽くしました。
今の時代、このかめのような生き方、「オンリー1志向」が必要とされていると思います。しかし同時に、「ナンバー1志向」は持たないでいい、ということはありません。
ソチで行われている冬季オリンピックのスノーボード男子ハーフパイプで、銀メダルを取った平野君は若干15歳、中学3年生です。オリンピックの大舞台で萎縮してしまってもおかしくありませんが、数々の海外転戦を通して、「自分の滑りができればいい!」、つまり、「オンリー1志向」でオリンピックを戦いました。その銀で輝くメダルは、自分のベストを尽くした結果であったのです。素晴らしいです。
私たちも、「ナンバー1」をどこかで目指しつつも、いつでも自分のベストを尽くしていきたいものです。いつでも自分を磨き、向上しようとする心を持つことです。その結果として、「ナンバー2」であっても、「ビリ」であっても、自分のベストを尽くした結果なのですから、それは「ナンバー1」なのです。
必ずしも、「ナンバー1」が「ナンバー1」なのではなく、「オンリー1」こそが「ナンバー1」と言えると思います。「うさぎとかめ」のかめから、そんな生き方を学んで行きたいものです。
あなたは世界でたった一人の「オンリー1」です。
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菅野直基(かんの・なおき)
1971年東京都生まれ。新宿福興教会牧師。子ども公園伝道、路傍伝道、ホームレス救済伝道、買売春レスキュー・ミッション等、地域に根ざした宣教活動や、海外や国内での巡回伝道、各種聖会での讃美リードや奏楽、日本の津々浦々での冠婚葬祭の司式等、幅広く奉仕している。日本民族総福音化運動協議会理事。
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