日本バプテスト連盟の性差別問題特別委員会は1月29日、NHKの籾井勝人新会長が、同25日の就任会見で従軍慰安婦について「日本だけがやってたようなことを言われる。戦争をしているどこの国にもあった」と述べたことについて、慰安婦問題を軽視する発言だとし、「憂いと怒りをもって抗議」する声明を発表した。
同委はまず、籾井会長の発言内容から「他の国も行っていれば正当化される事柄でない」と指摘。さらに、籾井会長の発言が事実と異なるとして、「歴史認識の危うさも感じざるを得ません」と危惧を示した。
籾井会長の発言が事実と異なる点について、同委は第2次世界大戦で軍が慰安婦制度に組織的に関与したのは日本とドイツだけだったと述べ、「日本の場合、『慰安所』の計画・設置・あっせん・管理等に軍が全面的に関与したことは、政府や旧陸海軍資料でも明らかであり、1993年に当時の官房長官が旧日本軍の関与を認めた上で『強制的な状況下での痛ましいものであった』と、いわゆる河野談話をもって政府として謝罪をしています」と指摘した。
また、籾井会長が「韓国が、日本だけが強制連行したみたいなことを言ってるから話しがややこしい。日韓条約で解決している」と述べたことについても、「『慰安婦』の証言等により真相が明らかになってきたのは1990年代以降のことであり指摘は当たっておらず、発言が『慰安婦』の心を更に痛めさせただろうことを悲しく思います」と批判した。
さらに、NHKが報道機関であることから「今一度、報道の原点に立ち帰り、受け手が『これぞ無くてはならぬ報道局』と思える在り方をこの機会を逃すことなく、模索して頂きたいと思います」と求めた。