キリスト教弁証家であり作家のラビ・ザカリアス氏が、ユタ州ソルトレイクシティの末日聖徒イエス・キリスト教会(LDS)タバナクルにて、3500人の福音派キリスト教徒とモルモン教徒を前にスピーチを行った。ザカリアス氏は、主義主張は異なっても共に「相対主義」と「モラルの喪失」に立ち向かおうと呼びかけた。
17日と18日の2日間に渡って開催されたのは「フリーダム・アンド・フレンドシップ」というイベント。ザカリアス氏がこのタバナクルで演説をしたのはこれが2度目だ。1度目は10年前。タバナクルで非モルモン教徒がスピーチをするのは105年ぶりのことだった。
17日のスピーチでは、「説明責任のない実用主義」にますます傾倒している文化に対し、キリスト教徒とモルモン教徒がどのように対峙したらよいかに焦点が当てられた。
KSL‐TVの伝えるところでは、ザカリアス氏は「列王記下」と「歴代誌下」に登場するマナセ王の物語を例に挙げ、「相対主義とモラルの喪失がもたらす危険性」について語ったという。
「上手くいっているからといって何でもすれば、結局何も上手くいかなくなる。永遠なるものにこそ人生を賭けるべきだ」とザカリアス氏。
「自分達の権利について話す人はたくさんいるが、実際何が正しいのかについて話す人は非常に少ない。よくない傾向だ。人が正しく真っ直ぐ立つことができる角度は1つしかない。それ以外の角度では、皆倒れてしまうだけだ」とザカリアス氏は付け加えた。また、ザカリアス氏は、福音派とモルモン教徒に対し、まずは自分達を変えるようにと厳しく促した。聖書を読み、「文化を変えようとする前に、まずは自分自身が神の前に正しくあるよう」神に訴えるべきだという。
地元のソルトレイクシティ・トリビューン紙は、「我々にそれができさえすれば、世界中の人がキリストの素晴らしさに気付き、従いたいと思うようになる」というザカリアス氏の言葉を伝えている。
今回このスピーチを企画したのは、複数の福音派教会によるグループ「Standing Together」。彼らは「祈り、賛美、戦略的な伝道によって、ユタ州のクリスチャンコミュニティを1つにまとめるきっかけとなる」ことを目的としている。
その他、「Standing Together」が行っているアウトリーチ活動としては、LDSと福音派の学問的対話の企画や、宗教間対話のためのリソース提供が挙げられる。彼らは2004年のザカリアス氏のスピーチイベントの企画も担当した。
17日、「Standing Together」の代表グレゴリー・ジョンソン牧師は、このカンファレンスはモルモン教徒とキリスト教徒が共に集い、共通の目的を認め合う機会になると観客に語った。
「今夜、私達は対立する敵同士ではなく、友人として集いました」とジョンソン牧師は言った。「神学的意見は異なります。それを軽んじはしませんが、今夜はキリスト教の偉大な指導者の口から、私達全員にとっての重要な課題、宗教の自由について話を聞く良い機会なのです」
LDSの長老でありブリガム・ヤング大学の元学長、ジェフリー・ホランド氏がザカリアス氏を紹介し、モルモン教徒とキリスト教徒が「共に主イエス・キリストを愛し、今夜だけでなく常に、真の兄弟・姉妹として集う」ことを称えた。
「このように私達が共に集うのは、宗教的自由を大切にし、またそれを必要とするからでもあります。宗教的自由があるから、私達は主イエス・キリストの福音を述べ伝え、それによって生きる権利が保証されるのです」とホランド氏は語った。