――命の種(植物の種)が入れられ、土に返る素材で作られたエコ風船を、子ども達が願いを込めていっせいに飛ばす。自分たちの手から始まる命の繋がりを、一人ひとりが体で感じていた。
日本福音ルーテル教会宣教室TNG委員会子ども部門が主催する「第9回ルーテルこどもキャンプ」が7〜9日、東京・三鷹市にあるルーテル学院大学で開催された。全国から集まった37人の子ども達が、バングラデシュに住む子ども達の生活について考え、貧しさの中にある心の豊かさや、命の尊さを学んだ。
今年は、日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)の派遣ワーカーとして実際にバングラデシュで働くスタッフを講師に招き、衛生環境の悪い、現地の貧しい生活の様子をスライド写真を使って学んだ。
子ども達は、悪環境の中でもきらきらと目を輝かせている現地の子ども達の姿を写真で見ながら、「自分がそういう立場に立ったら、こんな笑顔になれない」「日本人よりバングラデシュの人たちのほうが強い」などと感想を話していた。
また、世界には自分たちの知らないところで苦難の生活をしている自分と同じ世代の子ども達がいることを知り、「いま自分たちが何が出来るかすぐには分からないけれど、色々な人に伝えたい」「もっと世界の人たちを知って、生かしたい」と真剣な思いを語っていた。
キャンプの最後には、「世界中の人が平等に過ごせるように」「(幸せを)分け与えられるように」など、子ども達一人ひとりが考えた祈りの課題を発表。キャンプを通して子ども達が、世界の隣人に対する広い愛の心を持つようになったことが証しされた。
「どこの国にうまれても、みんな同じ命、大切な命なんだ」「自分はあまり学校に行きたくないと思っていたのに、学校に行きたくても行けず、生活のために働かなければならないバングラデシュの子どもたちを知って、学校に行けることの素晴らしさを知りました」「マザー・テレサが『日本は心の貧しい国』と話していたけれど、そう言われるような大人になりたくない」―子ども達の成長を示す感想は尽きない、と関係者は話す。
参加したスタッフの一人は、「本当にたくさんの恵みがあって、すべてを言葉では伝えきれないです。今回のキャンプは、どれ一つとっても、本当によく与えられたキャンプで、何が欠けても駄目でした。みんなの力が良く合わさったキャンプでした」と感想を語った。