東京基督教大学(千葉県印西市)の倉沢正則学長は1日、同大学で公開している自身の公式ブログで「ひとりを大切に」とする記事を掲載した。2013年を振り返りつつ、現在の世界は「ひとり」が顧みられない「『愛が冷えてゆく』時代」だとし、「ひとり」を大切にする必要性を語った。
倉沢氏は「近年、情報が世界大となったせいか、各国・各地での暗いニュースが日々飛び込んでくる」と言い、爆弾テロや、覇権争いによる部族同士の殺戮(りく)、内戦による難民、自然災害による被災者、国益を大偽名分にした各国の非難合戦など、昨今の世界の状況について触れ、「心が痛み、何とかならないものかと腹立たしい思いとなる」と語る。
一方、「社会の仕組みを変えることによって、誰もがその生をそれなりに営むことができるようになることの大切さは分かる」としながらも、「しかしそのプロセスの中で、その社会を構成する『ひとり』がかき消されてゆく現実も他方にある」と指摘。「抽象的な全体指向の世相にあって、ひとり一人が創造主なる神の『かたち』として造られた意義を覚えたい。同時に、すべての人がその神に背を向け自律と覇権を争う現実もしっかりと押さえておきたい」と語った。
また、「イエス・キリストがもたらした変革は、ひとりに向かい、ひとりを重んじ、ひとりの人格を大切にするものであったことを改めて覚える」と言い、キリスト教がその本質として「ひとり」を大切にする宗教であることを語った。