日本聖書協会は12日、東京都千代田区の日本基督教団富士見町教会でクリスマス礼拝を行い、同協会の関係者や支援者ら約280人が出席した。同協会総主事の渡部信氏が説教し、「(天にいます)神を理解することは、肉の者には不可能。神を理解するには、神ご自身が、神がどういう方なのかを語る以外に方法はなかった」と語り、「神が私たちの罪を自ら負ってくださることによって、神は神の正義を示された。それは赦されるという経験。そのあふれ出る恵みのゆえに、すべての人は神を正しく理解し、見ることができる」と説いた。
礼拝では、同協会理事の風間義信氏が司式し、理事会書記の多田滉氏が説教本文のマタイによる福音書1章18節から25節、ヨハネによる福音書1章14節から18節を朗読、同協会理事の河野裕道氏が祈祷をささげた。コロラトゥーラ・ソプラノのオペラ歌手、ありめせつこ氏が「O Holy Night」、カッチーニの「アヴェ・マリア」を賛美した後、渡部氏が「神の御子の誕生」と題して説教した。
渡部氏は、マタイ1章18節に記されているマリアの処女懐胎について「マタイ1章1節から始まるイエスの肉の系図は、18節からこの記述によって新しい次元に突入したことを示している。イエスという人物は何者か。従来の預言者の再来なのか。それともまったく異なって、神が天から遣わされた神の子なのか。その重大な問いに対しての答えが18節の記述」と、その重要性を強調した。
また、10月1日にJR横浜線踏切内で会社員の村田奈津恵さんが74歳の男性を助けようとして電車にはれられ死亡した事故について、「人々は彼女の何かに心を惹かれた」と述べ、「神の愛を信じないときに、犠牲を払う価値のない人にも、たとえすべてが無駄に終わっても、イエス・キリストはすべての人々のために十字架の死を遂げてくださったということが、もし私たちにとって真実であるとするならば、このキリストの贖いの業の中に、同じような無条件の愛、無制限の愛を見ることができる」と説いた。
最後に渡部氏は、「このクリスマスに、すべての人々が喜びを胸の中に感じるということは、大きな罪を背負っている人も、また小さな罪を背負っている人も、男性も女性も、お年よりも若い者も、みなイエス・キリストの御前で平等に、義の満ち満ちた神の恵みをいただくということ。クリスマスを通して私たちはこの喜びを証ししていく」と語った。
礼拝後には、第24回聖書事業功労者表彰式も行われ、聖書ソフト「Glo」開発チームのイマージョンデジタル社とトライベクトル社に表彰状が贈られた。