フィリピンの国家災害対策本部は20日、フィリピン中部を襲った台風30号による被害について、4011人の死亡を確認し、1602人が行方不明になっていると発表した。これで死者・行方不明者は5613人となった。被災者は約1千万人に上る。
14日に現地入りした日本国際飢餓対策機構のスタッフは19日、フィリピン福音自由教会の救援チームとともにセブ島北部に到着し、被災者に救援物資を配布した。物資を受け取ったある被災者は、家屋が全壊して教会に避難していたが、前日の18日夜に泥棒に入られ、食料がなくて途方に暮れていたという。
スタッフは同日、セブ島北部からボートに乗ってバンタヤン島にも入った。養鶏が盛んな地域だが、台風によるトラウマで鶏が卵を産まなくなり、養鶏所ではやむなく鶏を一羽20ペソ(約50円)ほどで売りに出している。多くの住民は養鶏で生計を立てており、地域経済に大きなダメージが出ている。政府やNGO団体から提供される支援物資を地域担当者が平等に配布していないと不満を口にする住民もいた。
地元関係者によると、地域差はあるものの、電気の復旧は早くて来年1月ごろ。支援物資の中でも、汚れた水を飲料水にする水フィルターセットは特に好評だという。
日本国際飢餓対策機構は、水フィルターセットと防災備蓄用のパンの缶詰、新品のTシャツを現地にコンテナ輸送する計画を進めている。また、サマール島を重点的に支援している現地パートナー団体の国際飢餓対策機構フィリピンの活動にも加わる予定だ。