【CJC=東京】教皇フランシスコは8月31日、バチカン(ローマ教皇庁)の新国務長官に、駐ベネズエラ教皇大使のピエトロ・パロリン大司教(58)を任命した。
教皇はまた現国務長官タルチジオ・ベルトーネ枢機卿(78)の定年による引退願いを受理した。パロリン大司教は、ベルトーネ枢機卿の後任となる。
また、教皇は同日、国務省総務局長ジョヴァンニ・アンジェロ・ベッチウ大司教、同外務局長ドミニク・マンベルティ大司教、教皇公邸管理部室長ゲオルグ・ゲンスヴァイン大司教をはじめとする、国務省および教皇公邸管理部の上部人事がこれまで通りであることを確認した。
パロリン大司教は、1955年、北イタリア・ヴィチェンツァ県スキアヴォンの生まれ。80年、司祭叙階。83年、教皇庁立教会アカデミーに入り、86年より外交官としての職務を開始。ナイジェリア、メキシコのバチカン大使館勤務の後、2002年より、国務省外務局次長として、特にベトナム・中国などアジア諸国を担当した。2009年、駐ベネズエラ教皇大使に任命されると共に、大司教に。
国務長官は首相相当の要職。3月に着座した教皇フランシスコが「最高幹部」の人事を行うことで、バチカンの本格的改革に着手したと見られる。教皇はこれまでの人事でも、バチカン勤務の長い「官僚派」を避け、世界各地の信者の現実を知る「現場派」からの登用を進めている。
ベルトーネ国務長官在任中は、「官僚派」の権力闘争のなかで、学者出身のベネディクト16世が孤立し、異例の教皇退位を決断する要因になったといわれる。
バチカンでは昨年、内部文書をメディアに流していたとして、前教皇ベネディクト16世の執事が窃盗容疑で逮捕された。前教皇の側近で絶大な権力を持つベルトーネ国務長官を追い落とすための権力闘争が背景にあると報じられた。