【CJC=東京】教皇フランシスコは7月22日朝、ローマのフィウミチーノ(レオナルド・ダ・ヴィンチ)空港からアリタリア航空機でブラジルに向け出発、同日午後4時(日本時間23日午前4時)、リオデジャネイロに到着した。ガレオン・アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港ではジルマ・ルセフ大統領らが出迎えた。
今回の訪問は、同地で開催される「世界青年の日」大会参加を目的としたもので、隣国アルゼンチン出身の教皇フランシスコにとって本格的な最初の司牧訪問となった。
信徒約12億人の4割強が集中する中南米諸国の中でもブラジルは1億数千万人の信徒を擁する世界最大のカトリック国。しかしサッカー・コンフェデレーションズカップ開催中の6月下旬に大規模デモが相次ぎ、警察との間で激しい衝突があったばかり。
教皇ブラジル到着日のデモは散発的で、「貧者の教会」をモットーに掲げる教皇の清貧の姿勢が、カトリックの信徒でない若者にも好意的に受け止められたと見られる。同国司教協議会は6月下旬、非暴力を条件に「デモに対する連帯と支持」を表明した。こうした教会の姿勢を踏まえ、教皇もブラジル訪問にあたり若者の社会参加を促している。
バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇はこの後、歓迎式典が行なわれるグアナバラ宮殿にまず普通車で向かった。空港から市内に向かう街道では大勢の市民が教皇を歓迎し、教皇一行の車が熱狂する群集に囲まれ速度を落とす場面が何度かあった。
市街地でパパモービル(教皇用の白いジープ)に乗り換えた教皇は、「世界青年の日」大会に参加する若者たちが多数待つ大聖堂前を一周、ここで人々の喜びは頂点に達した。
教皇の車は道にあふれる人々の間を進んでいったが、歓迎式の会場到着までかなりの遅れが出たため、最後は当局の勧めに従い、軍のヘリコプターで大統領の待つグアナバラ宮殿に降り立った。
グアナバラ宮殿で行われた歓迎式で、教皇は最初の海外司牧訪問で愛するラテンアメリカの地に帰ることができた摂理を神に感謝した。
「わたしは金銀を持って来たわけではありません。しかし、自分に与えられた最も大切なものを持ってきました。それはイエス・キリストです」と述べた教皇は、キリストの名の下に、皆の心に息づく兄弟愛の炎を育てたいと抱負を語った。
教皇は今回のブラジル訪問の目的を、コルコバードのキリスト像の広げた腕の下に集った世界各国の若者たちに出会うことと説明。「若者という窓を通して世界に未来は入ってくる」と述べ、青少年に人生を築くためのしっかりとした基礎を与え、安全と教育を保証し、生きるに値する永続的な価値観を伝えることが必要と強調した。