あなたがたに耳を傾ける者は
ルカの福音書10章1~16節(Ⅱ)
[1]序
ルカの福音書を読み進めます。
[2]「人々があなたがたを受け入れないならば」
(1)人々が福音宣教者を受け入れない場合について詳しい注意と説明、11節注意。「『私たちは足についたこの町のちりも、あなたがたにぬぐい捨てて行きます。しかし、神の国が近づいたことは承知していなさい。』」
(2)主イエスの宣教地ゴラジン、シドン、カペナウム(15節)。(特に、カペナウム、バビロンの王についてのイザヤのことば(イザヤ14章13~15節)を引用)。ツロ、シドンは、旧約における異教の町の代表。異教の港町として、ユダヤ人は罪深い町との印象を持つ(イザヤ23章、エレミヤ25章22節、エゼキエル26~28章参照)。
(3)福音を拒むことそのことがさばき(ヨハネ3章17節以下参照)。祝福の場合も、福音を受け入れ主イエスご自身に聞き従うそのことが祝福。賜物としての信仰。
[3]16節
この箇所(10章1~16節)の要約としての16節。
「あなたがたに耳を傾ける者は、わたしに耳を傾ける者であり、あなたがたを拒む者は、わたしを拒む者です。わたしを拒む者は、わたしを遣わされた方を拒む者です。」
(1)「あなたがたに耳を傾ける者は」
(2)「あなたがたを拒む者は」
この二つの反応の両方が事実起こる。この事実に対して、どのように考えるか。白地に黒い点があるとしてつまづき絶望するか。黒地に白い点があるとして感謝し喜ぶか。自らの罪人としての自覚が分かれ目では。しかし何よりも注意すべきは、主イエスと主イエスにより派遣された弟子たちとの結び付きです。
[4]結び
(1)キングス・ビジネスとしての自覚。しもべとして何でもする覚悟(Ⅰコリント9章19~23節参照)。王の王のしもべとしての毅然とした姿勢(ガラテヤ6章17節参照)。
(2)エレミヤの実例、まず聞く者として徹する。
(3)サムエルの実例、Ⅰサムエル3章10節。「そのうちに【主】が来られ、そばに立って、これまでと同じように、『サムエル。サムエル』と呼ばれた。サムエルは、『お話しください。しもべは聞いております』と申し上げた。」
(4)牧師夫人の第一の使命。裏も表も知り抜いている牧師が語る言葉を、聖霊ご自身の助けにより、なお主からのメッセージと受け止めうること。
宮村武夫(みやむら・たけお)
1939年東京生まれ。日本クリスチャン・カレッジ、ゴードン神学院、ハーバード大学(新約聖書学)、上智大学神学部修了(組織神学)。現在、日本センド派遣会総主事。
主な著訳書に、編著『存在の喜び―もみの木の十年』真文舎、『申命記 新聖書講解シリーズ旧約4』、『コリント人への手紙 第一 新聖書注解 新約2』、『テサロニケ人への手紙 第一、二 新聖書注解 新約3』、『ガラテヤ人への手紙 新実用聖書注解』以上いのちのことば社、F・F・ブルース『ヘブル人への手紙』聖書図書刊行会、他。