収穫の主に、収穫のために祈れ
ルカの福音書10章1~16節(Ⅰ)
[1]序
新しい章10章へ。ルカの福音書を読み進めて行きます。
[2]七十人の派遣
(1)「定め」、「お遣わしに」、「ご自分が行くつもりの」など、主イエスの主導が明らか。基本的事実、「ある人の使徒はその人自身の如し」。
(2)「七十人」について二つの理解
①イスラエルの12支族
大会議は70(72)人衆(出エジプト記24章1節、民数記11章16節以下)。旧約と新約の結びつき。
②世界には70の非ユダヤ民族があるとの当時の通念、その関係で世界宣教との結びつきを見る。
(3)「すべての町や村へ」
[3]2節に注意
【2節】そして、彼らに言われた。「実りは多いが、働き手が少ない。だから、収穫の主に、収穫のために働き手を送ってくださるように祈りなさい。」
70人にとって大切な働き、それは祈り。
(1)「実り(収穫)は多い」、必要性は多い。また豊かな可能性。ヨハネ4章35節参照。
(2)「働き手は少ない」
(3)「収穫の主に」、主なる神ご自身が中心。
[4]結び
(1)私たちが生かされている生活の場、そこでの本当の必要を見抜く目を求められています。またそこに主なる神にあって可能性を見い出す希望と信仰の心を保ち続けることを期待されています。数少ない者であっても真に開拓者として生かされるために。
(2)祈りと働き。70人の使命を通して、祈りと働きの切り離すことのできない深い関係を教えられます。
【Ⅰコリント3章6節】私が植えて、アポロが水を注ぎました。しかし、成長させたのは神です。
【Ⅰコリント15章10節】ところが、神の恵みによって、私は今の私になりました。そして、私に対するこの神の恵みは、むだにはならず、私はほかのすべての使徒たちよりも多く働きました。しかし、それは私ではなく、私にある神の恵みです。
(3)主の平安のとどまる「家」、福音宣教の基地としての「家」
各自の信仰が各家庭で生き生きと実を結んでいくこと。さらに一つ一つの家庭集会のための祈り、新しい家庭集会の誕生のためにも。
宮村武夫(みやむら・たけお)
1939年東京生まれ。日本クリスチャン・カレッジ、ゴードン神学院、ハーバード大学(新約聖書学)、上智大学神学部修了(組織神学)。現在、日本センド派遣会総主事。
主な著訳書に、編著『存在の喜び―もみの木の十年』真文舎、『申命記 新聖書講解シリーズ旧約4』、『コリント人への手紙 第一 新聖書注解 新約2』、『テサロニケ人への手紙 第一、二 新聖書注解 新約3』、『ガラテヤ人への手紙 新実用聖書注解』以上いのちのことば社、F・F・ブルース『ヘブル人への手紙』聖書図書刊行会、他。