【CJC=東京】エジプトのムハンマド・モルシー前大統領が軍の事実上のクーデターで排除されて以来、同国の少数派コプト正教会への抑圧事件が続発している。その多くがイスラム教過激派によるものと見られる。
古代遺跡で有名なルクソール近郊のナガア・ハッサンムラでイスラム教徒村民の死体が7月5日発見された。キリスト者の仕業だという噂が一気に広がり、イスラム教過激派の数百人が暴徒化、キリスト者の住居の窓やドアを壊し、店舗から商品を略奪した。暴行を阻止しようとしたイスラム教徒は押しのけられたという。キリスト者10人以上が村内の『洗礼者聖ヨハネ教会』に避難した。
逃げ遅れた実業家のエミル・ナシーム氏(41)たちは自宅に立てこもったが暴徒数十人に襲われ、一緒にいた甥と一緒に屋根伝いに逃げようとしたところを引きずり下ろされ、こん棒などで殴打、殺害された。甥も頭や肩に重傷を負った。警察も暴徒の勢いに押されてか、救出活動が出来なかった。
シナイ半島北部地中海岸沿いのエルアリシュではコプト正教会のミナ・ハロアン司祭(39)が7月6日、イスラム教武装勢力に殺害された。
路上を歩行中、自動車から出てきた暴徒に銃撃された。病院に搬入されたものの数時間後に死亡が確認された。
同半島北部のイスラエル国境付近のシェイク・ズウェイドでも同日、商店主マグディ・ハバシ氏(60)が誘拐され、11日に遺体が発見された。両事件ともイスラム教過激派によるものと見られている。