【CJC=東京】英国国教会のジャスティン・ウェルビー・カンタベリー大主教は6月14日、バチカン(ローマ教皇庁)を訪問、教皇フランシスコと会見した。
バチカン放送によると、ウエルビー大主教とキャロライン夫人、随行員ら使節団を迎えた教皇は、まず大主教と個人会談を行った。教皇は会談に続き、大主教はじめ英国国教会の使節団に挨拶した。
この中で教皇は、トリック教会と英国国教会の長く複雑で、時に苦難に満ちた関係の歴史を思い起こす一方、神学対話をはじめ、誠実な相互尊重と対話によってここ数十年大きく発展した両教会の兄弟的な歩み寄りを神に感謝した。そして、キリスト教一致を目指す歩みのために祈りつつ、人間の命の擁護や、結婚に基づいた家庭への連帯、貧しい人々の叫びに声を与えるための社会正義への取り組みなど、キリスト教的価値を共に推進していきたいと、抱負を述べた。
その後、教皇と大主教は、バチカン宮殿内のレデンプトリス・マーテル礼拝堂で共に祈りを捧げた。その後、教皇が現在居住しているサンタ・マルタ宿舎で昼食を共にした。
教皇フランシスコと、ウェルビー・カンタベリー大主教の出会いは今回が初めて。教皇は今年3月13日に選出され、同月19日に着座したが、大主教も、昨年末に指名を受けた後、今年1月に公式に選出され、3月21日に着座式を行っている。
大主教は、バチカン訪問を終えるにあたって、教皇フランシスコと、経済的正義、中東のキリスト者の状況について意見を分かち合い、さらに、それぞれの日常生活で神の召しを深く感じることについても話し合った、と語り、教皇を「キリストの霊に燃える、特別な人間性」を持った人だとしている。
大主教は、聖公会とカトリックとの和解に至る道にはさまざまな障がいがあるが、キリストの福音という「根幹を証しする」ための新しい力と共通の関わりを感じた、と語った。
聖公会とカトリックの関係について、大主教は、女性の聖職叙階といった大きな問題があることは確かだが、別々に生きていることについて、独りよがりに決めつけることは出来ないという感覚が湧き上がってくることに大きな希望を見出す、と語っている。
教皇が、会話の中で互いの着座についてジョークを語った、と大主教が明らかにした。「笑いながらだが、彼はわたしをからかって、自分の方が2日早かったね、と言ったので、わたしはそれなら双子のようなものだ、と返した」と大主教。祈りと個人的な霊性、イエス・キリストの使徒としての歩みについて、非常に肩のはらない会話だった、という。