【CJC=東京】スコットランド教会(長老派)総会が5月25日、同性愛教職を認めるという450年の伝統から離脱する歴史的な決定をしたものの、明年の規則化を待ち、さらには最終的決定が各個教会に委ねられるとあって、同派内の動きも新段階に入った。西部ヘブリディーズ諸島の2教会が離脱を検討している、との情報が流れても、大きな反響はなかったことは、賛否両側とも分裂の危険を冒すまでにはならない、との閉塞感もあるようだ。
「同性愛反対」には二つの流れがある。同性愛関係を容認すべきではない、認めるのも不承不承な「可能性派」は、自らの主張が正式なものであり続けるなら、妥協策として賛成に回るだろう。
「不可能性派」は、少数だが強力で、同性愛者受け入れについての議論を放置することにも難色を示す。このグループの聖書理解は、最近の学者からは認められないものの、自分たちの考えこそ神の変わることのない意思だと言う。それでも単なる脅しにも聞こえ、大量脱退には至らないと見られる。
都市以外の小教会は離脱の誘惑にさらされそうだが、都会の大教会にとっては、離脱は同派の中心とも言えるグラスゴーのセント・ジョージ・トロン教会との関係を断つことになるので、実現の可能性はほとんどない。
スコットランド教会の指導層は、同性愛聖職者に反対ではあるが分裂を欲していない人との牧会的な対話を図ろうとしている。
総会での「妥協」が福音派からの強力な支持を得たことも見逃せない。福音派自身の中に同性愛聖職者受け入れに向かう動きも出てきた、とも言える。
このまま行くと、スコットランド長老教会が最終的に同性愛関係の拒否に終止符を打ったとしても、離脱せず、同派の一員として留まる教会が多数となりそうだ。「出たくても出られない」というもどかしさが同派の今後にどのような影を落とすことになるのだろうか。