【CJC=東京】シリアで2011年3月に反政府デモが本格化して以来の死者が9万4千人を超えた。英国に本拠を置く「シリア人権監視団」が5月14日発表した声明で明らかにした。監視団は死者が8万人を超えたと12日に発表したばかりだが、アサド政権を支えるイスラム教アラウィ派が多い西部タルトス、北西部ラタキアなどでの犠牲者数が、従来の情報よりはるかに多いことが判明したという。監視団によると、実際の死者数は12万人以上と推定される。
4月22日に北部アレッポ付近で拉致された正教会主教2人の所在は不明のまま。拉致犯との連絡もついていないまま、1か月を迎える。
バラク・オバマ米大統領は5月16日、シリアのアサド政権の化学兵器使用が裏付けられた場合の対応について「外交・軍事の両分野で追加的措置を取る用意がある」と述べ、軍事的対抗措置を検討していることを明らかにした。発言は従来より踏み込んで「軍事」と明言したもの。大統領は「大事なのは何が起きたのか、さらなる具体的情報を得ることだ」と化学兵器使用の証拠収集を続けていることを強調した。
シリアのバッシャール・アル=アサド大統領は19日、メディア・インタビューで、米ロが開催で合意したシリア問題の国際会議について、「シリアの改革を決めるのはシリアであり、米国もいかなる国も介入は許されない」と述べ、会議の成果に懐疑的な見方を示した。
また「国家はテロリストと交渉しない」と述べ、反体制武装勢力との対話をあらためて拒否した。
レバノンとの国境に近い要衝の町クサイルでは19日、政府軍と反体制派の戦闘が激化し、双方が町の一部を制圧したと宣言した。『シリア人権監視団』によると、この戦闘で反体制派の戦闘員48人を含む多数が死亡し、数百人が負傷した。
国連総会は15日、アサド政権を強く非難し、反体制派の統一組織「シリア国民連合」が設立されたことを歓迎する決議案を採択した。賛成は日米やアラブ諸国など107、反対はシリアや中ロ、北朝鮮など12で、インドなど59カ国が棄権した。