終戦2年後の1947年(昭和22年)、現在のNTT、KDDIの前身となる逓信(ていしん)省で始まり、数度の改名を経ながら職場を中心としての聖書研究を続けてきたNTT・KDDI合同聖書研究会が今年創立60周年を迎え、記念集会を21日、東京都千代田区のお茶の水クリスチャンセンター(OCC)で行った。この日は、国際基督教大学(ICU)名誉教授、聖学院大学大学院教授の古屋安雄氏を講師として招き、13人が参加した。
同会は、当時逓信省に勤めていた鈴木欽也さん(同会代表幹事)らの呼びかけで、同省の本省で始まった。現在80歳である鈴木さんは当時20歳。鈴木さんを中心とした青年らの呼びかけで、地下の一室を借りての聖書研究会が始まった。当初は立ちながら聖書の朗読をし、30人以上が集まっていた。これがきっかけとなり職場の聖書研究会が、電電本社、東京通信局、市外・番案局、東京中央電報局、関東通信局、中央学園、通信研究所、関東逓信病院、国際電電、NTT、NTTデータなどで次々と誕生した。
鈴木さんは同会の機関紙「いずみ」で、「60年もの長い間、主の御導きと御憐れみにより続けることが出来たことは、ただ感謝の他にない。この間には色々なことがあったが、職場のクリスチャンが心を一つにして福音の伝道のためにそのともしびを燃やし続けてきたのは、すべて主イエスの恵みにその源泉がある」と60年の活動を振り返って感想を語る。
各職場で誕生した聖書研究会は各会のリーダーの転勤や、職場を会場としての集会が困難になったなどの理由により、1958年から各職場の聖書研究会が合同した形で、電々合同職場聖書研究会(NTT・KDDI合同聖書研究会の旧名)を開催。以来、毎年3、4回のペースで集会を開き、今回で155回目となった。
古屋氏は集会で、マルコの福音書1章14〜15節を引用し、「神の国と教会」と題して講演。なぜ日本ではクリスチャン人口が1パーセントとキリスト教が停滞しているのかを、「神の国」をキーワードに説いた。古屋氏は、これまでの日本の教会が、イエスが宣教されて1番目に伝えた「神の国」について語ってこなかったことを指摘。いわゆる「教会派」と「社会派」に分けられる日本の教会に対して、「これらを超えるのが神の国を宣べ伝える教会」と強調した。
同会で共に聖書を学んだメンバーで、牧師となり献身の道を歩む人は10人ほど。現在は現役よりもOBがメンバーの大半となっているが、毎年秋には一泊二日の研修会を開催している。同会事務局担当の露久保さんは、「諸先輩の灯した聖書研究会の火を消す事のないように継続していきたい」と語る。