【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)教理省長官のゲルハルト・ミュラー大司教が1月11日、ルーテル派をカトリック教会に「復帰」させるための『オルディナリアーテ』検討の余地がある、と発言した。これに対しルーテル世界連盟(LWF)のマルチン・フンヘ総幹事が1月18日、概略次のような懸念をLWI通信に表明した。
ルーテル派は、思想、良心、宗教という基本的権利の推進を堅持している。この基本的権利はまた、ルーテル派信徒が、ローマ・カトリック教会に属し、自らの信仰をその教会で証ししようと望むなら、その離脱がわたしたちルーテル派には苦痛ではあるが、そのような選択をする権利があることを意味している。
しかしながらLWFは、ルーテル派としての同一性と伝統を維持しつつカトリック教会に属するという、極めて少数のルーテル派の要求に沿うために、カトリック教会内に特別な組織を設立する可能性があるとの情報を、大きな関心をもって受け止めている。
教派的な固有性を結合するということへの神学的疑問に加えて、LWFの懸念は、『オルディナリアーテ』のような組織を創設することがエキュメニカル(教会一致を目指す)運動に深刻な反動をもたらすことになる、という事実に関するものである。
それは、進行中のエキュメニカルな対話の一部である、教会論の諸問題に関して一つの理解を作り出そうということへの挑戦でもある。
2017年の『宗教改革記念』をエキュメニカルな理解と協力という精神で行おうとしている全世界のLWF加盟教会に対する間違った「合図」ともなろう。