【CJC=東京】エジプト南部ケナ州マラシュダ村で、キリスト者(コプト教徒)の60代の男性が6歳の少女に性的暴行を加えたとの噂が広がり、イスラム教徒がコプト教会を襲撃する事態になった。
村では、コプト教徒の所有する店舗や自動車がイスラム教徒村民に焼き討ちされ、1月18日には、村民が村の中央にある『アブ・ファム教会』を取り囲み、投石したり、壁をよじ登り十字架を壊そうなどとした。警察が催涙弾を発射し、群衆を強制的に解散させた。
教会の隣に居住する村民は、「私たちをテロの対象にしている。攻撃の理由を見つけようとしている」と語ったが、報復を恐れ匿名を条件にしている。「彼らの背後に誰がいるかは、分かっている。『道徳推進・悪徳防止』組織がこの2カ月ほど、村のカフェに来ては村民に禁煙を命じ、イスラム教徒にはモスクに行って祈るよう強制していた」と言う。
エジプトのキリスト者とイスラム教徒との間の抗争は、ホスニ・ムバラク政権が民主化闘争で打倒されて以来、国内の治安悪化に伴い増加している。コプト教徒は、ムバラク政権崩壊後の権力空白が、コプト教会とその財産襲撃を超保守的なイスラム過激派に横行させるのではないか、と懸念している。
コプト教徒はエジプト総人口8500万の約1割を占めるが、国家による差別に長らく不満を持っている。コプト教徒は中東のキリスト教共同体としては最大規模。抗争は、教会堂建設、土地所有、両派信徒間の情事にからんだものがほとんどだ。