陸上自衛隊の機密情報漏洩防止を目的に活動する情報保全隊が、03年11月から04年2月までイラク派兵に反対する野党議員や市民団体、デモ参加者などを監視していたことが先月6日に明らかになったことを受けて、日本キリスト教協議会(NCC)は、同隊の監視行為を違憲とした上で「民主主義と立憲主義の根幹を踏みにじる行為」と抗議を表明し、防衛省に対して、監視の対象になった団体、個人に対して謝罪を求める声明(2日付け)を12日、同協議会の公式サイトで発表した。
NCCは声明で、同隊の監視行為が「その本来の業務・自衛隊の秘密保持から逸脱している」とし、「国家権力による特定の思想、特に国家権力を批判する思想への監視は、憲法の保障する表現の自由・思想の自由・信教の自由・集会の自由・結社の自由などを脅かす違憲行為」と指摘した。
自衛隊法第79条の2(治安出動下令前に行う情報収集)では、治安出動命令が発せられた場合と、武器を所持した者による不法行為が行われることが予測される場合に限り、国家公安委員会による協議、首相の承認を経て、情報収集を行うことを可能としている。しかし、今回の場合、監視された対象が市民団体の集会等であるため、「武器を所持した者による不法行為が行われることが予測される場合」には該当せず、情報収集をする法律上の根拠がないと見られる。
NCCは声明上で、キリスト者が、自らの信仰に基づいて国家が間違えた方向に進まないように警告する「預言者」としての立場にあるとし、「わたしたち(キリスト者)はキリストにならって武力によらない平和づくりをするようにと常に促されている」と述べ、平和的な手段によって真の平和実現を目指すキリスト者の立場を示した。