【CJC=東京】イスラム主導のエジプト新憲法案の是非を問う国民投票が12月15日始まった。ムハンマド・モルシ大統領に近いイスラム主義者が起草を主導したことからイスラム色が強まることへの懸念が高まり、世俗・リベラル派や人口の約1割を占めキリスト者(コプト教徒)らが反発している。ただ投票には参加、反対票を投じたものと見られる。
新憲法案は、旧憲法(1971年制定)、革命後の軍政が出した憲法宣言(暫定憲法)に代わるもの。
全国の判事でつくる「判事組合」が11日、モルシ大統領の独裁的手法に反発、投票の監視任務のボイコットを表明、判事の9割がボイコットしたことから、モルシ大統領は同日夜、国民投票を15日と22日の2回に分けて行うことを決定した。選挙を監督する判事の人数不足への対応を示したもの。
カイロ、アレキサンドリアなど都市部を中心とした1回目の投票が15日に行われ即日開票された。有力紙『アルアハラム』(電子版)の非公式集計によると、賛成票が56・5%、反対が43・5%だった。公式結果は22日の2回目投票後に発表される。
新憲法案は、有権者約5100万人の投票数の過半数で承認される。22日の2回目投票は保守的で賛成派が優勢とみられる農村部が大部分で、新憲法案は賛成多数で承認される公算が大きい。
アルアハラムによる各地の開票所などからの結果集計として、共同通信が報じるところでは、第1回投票では賛成約460万票、反対約353万票、投票率は33%だった。1回目が実施された10県のうち、首都を含むカイロ(反対56・9%)など2県では反対が上回った。
新憲法案が成立しても、反大統領派の連合体「国民救済戦線」はモルシ政権との対立姿勢を続けると見られる。今回の国民投票についても選挙違反などを理由に不正投票と非難を強めており、混乱は収まりそうにない。その中で存在感を高めているのがエジプト国軍。再び大きな衝突が起きれば軍が介入するとの見方もある。