【CJC=東京】教皇ベネディクト16世が12月3日、インターネットサービス「ツイッター」を始めた。使う言語は英語、スペイン語、イタリア語、ポーランド語、フランス語、アラビア語、ポルトガル語、ドイツ語の8言語。アカウント名は、ラテン語での教皇の正式称号「@Pontifex」。
バチカン(ローマ教皇庁)のフェデリコ・ロンバルディ報道事務所長らによると、信仰に関する質問に答えるのは12日から。
教皇は、ソーシャルネットワークの中で多くの人が人生についての問いを発している現状を認め、「デジタルという新大陸に福音を説く必要性がある」と語っている。
自ら神学者として、カトリック信仰に関する長文の研究書で知られる教皇が、1回が140字以内という制限のあるツイッターでどこまで発信出来るかメディアの注目を集めている。
ツイッターに参加するには、教皇のツイット・アカウンドに入って「フォロワー」になる必要があるが、手を振る教皇の写真を掲げたアカウントには、バチカンの発表後6時間以内に、英語版で14万3600人がフォロワーになった。翌4日には、8言語合わせたフォロワー数が50万人を超えた。同日午後の時点で、フォロワー数は英語バージョンが約40万人と最多、次がスペイン語という。
イスラエルのシモン・ペレス大統領もフォロワーの1人で、「ツイッターにようこそ。イスラエルとバチカンの関係はこれまでになく良好で、平和の礎を今後も築いていくことができる」とツイートしたと報じられた。
教皇による最初のツイートは12日の現地時間正午に予定されている。水曜日の一般接見に合わせた時間。
この6月にバチカンのメディアアドバイザーに就任した、元米フォックスニュース特派員のグレッグ・バーク氏は、教皇は好きなだけ何度でもツイートすることになると語っている。教皇が実際にそれぞれのツイートを自身で書くわけではないが、内容は全て教皇が承認したものになる。
最初のツイートは、ツイッターで教皇に寄せられた信仰に関する質問への答えになる見通し。質問の送信先は「#askpontifex」。
教皇はツイートはするが、他の誰かのアカウントをフォローすることはないという。
教皇はこれまでも、バチカンの新情報ポータルサイト開始を発表するために、1回ツイートを行ったことがあるが、それはバチカンのアカウントからだった。
教皇が新たなコミュニケーションと取り組む目的は、若い世代に働きかけることだ。第3千年紀に入ったカトリック教会は、高齢の敬虔な信者を引きとめる伝統の維持と、若い世代を引き付ける新たな文化の受容との間のバランスに配慮している。
幅広い層の信者との交流を目指しては、特にインターネット世代を重視し、ソーシャルメディアを活用する取り組みを進めている。ただ最大手とされるフェイスブックに教皇の公式アカウントを開設する予定は現在のところないという。「教皇のメッセージを届けるのには、フェイスブックよりツイッターの方がふさわしいと思われる」と、バーク氏。
ツイッター上にはベネディクト16世の名をかたる偽アカウントが複数存在するが、バチカンは公式アカウントが攻撃対象になることはないと楽観的だ。