【CJC=東京】カトリック救援団体が教義に反する活動をしていないか司教が厳密に監督しなければならない、という新指針を教皇べネディクト16世が12月1日公布した。
新指針は、カトリック系の救援団体は「活動に際してはカトリックの教義に従い」、その原則を危うくするような「関係を受け入れてはならない」と述べている。また救援団体が、「教会の教義に反する目的を遂行している団体や制度から」の資金を受けることや、「教会の教義に合致しない」活動のための供与を禁止している。
これらの条件を満たしていない組織には、司教が介入し、信徒に警告し、「カトリックという名称を使用することを禁止」すべきだ、と言う。
全世界のカトリック救援団体に関する新規則は教皇書簡『救援の業』として出された。団体の活動が「ただもう一つの社会援助組織の形になるという危険を避ける」ことを目的としている。新指針遵守の責任は「コルウヌム」(教皇庁開発援助促進評議会)が担う。
指針は、職員が団体の「カトリックであることを実践し、少なくともそれに敬意を払うこと」と、それが「キリスト者の生活の例」となることを求めている。
カトリック救援団体の給与は「キリスト教的な質素な生活」に相応したものである、と司教が確認するべきだ、としている。
これらの規制は、教会の救援団体や社会活動団体への監督強化をバチカンが推進してきたことの延長線上にある。この5月には、バチカンが、162の地域カトリック救援団体の包括組織ではる「国際カリタス」への監督強化に乗り出している。
米国では、「人材育成のためのカトリック・キャンペーン」への支援、支持を撤回する司教が出ている。同組織の毎年の募金は反貧困プログラムに向けられているが、その多くがカトリック教会とは関係のないものだった。
2010年、米カトリック司教協議会は、「基本的なカトリックの倫理や社会教説と相容れない活動支援のため」に資金は供与しないという改革案を採択した。
カリタスへの資金援助では、米国最大規模の一つ「ゲイツ財団」が問題として浮上している。同財団は世界各地のカリタスに助成しているものの、問題は「家族計画」を支持していること。これまでも、そのような財団からの助成は受けるべきでない、とする司教はいたが、今回の新規制が個々の司教の判断に与える影響が注目される。