【CJC=東京】「今、世界で急成長している宗教は?」と問われたら、その答えは「イスラム教」と思う人にとって、朗報か悲報か分からないが、実際には「キリスト教」だ、とインターネット・サイト「リアル・クリア・レリジョン」が、「ウイキペディア」(英語版)のデータを元に分析している。ただ重要な前提条件が一つある。それは「欧州を除いて」ということ。
ウイキペディアは、イスラム教、キリスト教、仏教、法輪功、サイエントロジーなどを検証しているが、これらを数量的に比較するのが困難なことは確か。
そこでまずキリスト教を見ると、20世紀を通じてキリスト教は成長したが、それは南半球において顕著だった。1900年以来、アフリカのキリスト者は1000万人から約5億人へ4930%と信じられない増大。このまま行くと、2050年には10億人に届きそうだ。これは1900年の全世界のキリスト者の2倍に相当する。特にアフリカのカトリック信徒だけを見ると、190万人から1億3000万人へ6700%成長している。ラテンアメリカでも877%だった。
20世紀に入って、イスラム教も急成長し、キリスト教をしのいだ、とも見られる。1900年には世界人口の約3分の1はキリスト者で、その比率はほぼ現在までほぼ一定している。2050年にもそれは変わらないと予想される。
一方、イスラム教は、1900年に2億から2億2000万人で12から13%だったが、現在は22・5%、2050年には27%に達するものと見られる。キリスト者とイスラム教徒の比率は1900年が2・8対1、現在が1・5対1、2050年には1・3対1と差が急速に縮まっている。
別の見方をすると、キリスト者は現在、1900年の4倍になったが、イスラム教徒は7倍だ。
これはどういうことかと言うと、世界の人口急増地帯との関係がある。イスラム教は20世紀を通じてアフリカ、アジアなど出生率の高い地域に集中している。それに対して、キリスト教は欧州に集中しており、欧州自体の増加率が他に比べて非常に遅々としているのだ。
1900年、欧州人口は世界の4分の1を占めていた。これが2050年には8%に近づくと予想される。1900年には欧州の人口はアフリカの3倍だったが、2050年にはそれが逆転する。欧州を除外して見ると、イスラム教とキリスト教の勢力は拮抗しているとも言える。