【CJC=東京】次期カンタベリー大主教に任命されたジャスティン・ウエルビー大主教は11月9日、ランベス宮殿での記者会見を「聖霊よ来たれ」との祈りで始めた。開会声明でベネディクトの豊かさとイグナチウスの霊性、崇敬、沈黙の祈り、そしてカトリック教会の社会教説を称賛した。
英国国教会を分裂に導きかねない問題に触れ、女性の主教叙階への強い支持を表明した。同性婚を合法化する政府の計画に関しては、慎重な言葉使いではあるが、「民法上の結合」を支持、同性愛には反対し、自分の考えを「注意深く、深い祈りをもってのこと」としている。
英カトリック教会司教協議会会長のビンセント・ニコルズ大司教は、新大主教任命のニュースに歓迎の意向を示し、密接な協力を進める、と語った。
ウエルビー氏の次期カンタベリー大主教選出は、本人も言う通り、大方の予想を裏切ったもの。最終決定に手間取ったことも、その間の事情を伺わせる。家族自身も全面的な歓迎とは行かないようだ。
有力候補として当初話題にされたのはヨークのジョン・センタム大主教であり、コベントリー、ノリッチ、リバプールの主教の名も上がっていた。
ウエルビー氏は1956年1月6日生まれ。ケンブリッジ大学イートン校、トリニティ校卒。石油業界で11年活躍した後、1980年代末に「召し」を感じ、高給を捨てて89年聖職叙階、2011年ダラム主教になったばかり。
前任者がいずれも学者、聖職者として長くまた顕著な経歴の持ち主が多かったことから見ても、異色ぶりが目立つ。
ケンブリッジ卒で、会員制の紳士クラブとして有名な「ペルメル・クラブ」の会員ではあるが、支配層の人間とは見られていなかった。
神学的には、福音派の伝統に立ち、英国国教会の中では聖書理解が保守。しかし礼拝形式の近代化の熱心な支持者でもある。