【CJC=東京】エジプトのコプト正教会は首都カイロの聖マルコ大聖堂で11月4日、第118代教皇(アレクサンドリア総主教)にタワドロス主教(60)を選出した。今年3月に死去した教皇シェヌーダ3世の後任となる。新教皇の選出は1971年以来41年ぶり。
人口約8250万人のイスラム教国エジプトで、コプト教徒は10%弱の少数派。イスラム主義を徹底弾圧したホスニ・ムバラク前政権とはシェヌーダ3世が一定の良好関係を維持していた。昨年2月、民主化要求運動「アラブの春」で政権が倒れ、イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」出身のムハンマド・モルシ大統領率いる政権が誕生してからは、コプト教徒と多数派イスラム教徒の摩擦が激しくなっており、新教皇にとっては宗教間の融和や信徒の統率が課題になる。
シュヌーダ3世の後任を選出する評議会は10月29日、聖マルコ大聖堂で開催された。パコミオス教皇代行が明らかにした所では、聖職者、共同体指導者、有力者など約2400人が出席、候補者5人に対して投票した結果、前教皇の補佐役を務めていたラファエル主教(54)、教皇代行を補佐していたタワドロス主教、アレキサンドリア近郊の修道院のラファエル・アヴァ・ミナ司祭(70)の3人を最終候補とした。
候補者はまず17人が選ばれ、その中から聖職者によって5人に絞られたもの。
最終の選定は、候補者3人の名前を書いた紙を箱の中に入れ、信徒から選ばれた少年が目隠しをして1枚を選び出した。選出に神の意思を反映させるためという。
タワドロス新教皇は1952年11月4日生まれ。1975年にアレクサンドリア大を卒業、薬学士。83年、アレクサンドリア聖職大学卒、神学士。88年7月31日剃髪、89年12月23日修道司祭叙階、97年6月15日主教任命。
コプト正教会は東方諸教会の一つ。非カルケドン派とされている。