国の登録有形文化財に指定されている日本基督教団横須賀上町教会(横須賀市上町2‐43=森田裕明牧師)の保全運動のため、教会を広く地域の人々に知ってもらおうと、市民団体「うわまち教会建物応援団」(福島保代表)が主催するチャリティーコンサートが13日、同教会で行われる。
コンサートは、横須賀市内のライブハウスで活動するアマチュア市民バンド「”もーし”と仲間たち」が出演。「横須賀上町教会で癒しの音楽!」としてオリジナル曲などを演奏する。
同教会は信徒が10人、付属のめぐみ幼稚園は園児34人と小規模な教会。現在、築70年以上が経っており、これまでに2、3千万円の修理を行ってきたが、教会の規模の面で教会全体の建て替えができなかった。そのような中、同幼稚園の卒園生の中に、横須賀市で歴史的建造物を調査、保存するグループ「横須賀建築探偵団」のメンバーが1人がいた。その人との取つながりによって、同団が同教会の文化財への登録や応援団の結成など、教会保全へ向けて協力、今の運動が始まった。
同教会が国の登録有形文化財に指定されたのは、横須賀市内の民間の建物の間では初めて。地元の新聞や情報誌でも様々な形で取り上げられている。また、同教会を設計したのは、米国人宣教師で建築家として著名なウイリアム・ヴォーリズの最後の弟子といわれる横田末吉。数年前に、横田氏の娘2人が同教会を訪れ、判明したという。森田師は、現在の教会がアメリカの福音教会が全額寄付する形で建てられた経緯も挙げ、「(上町教会が)100人、200人の教会であれば新築も考えたでしょうが、このようなことがいろいろ重なり、これも神様の御心では」と語る。
主催するうわまち教会建物応援団は05年に設立。現在、森田師と教会員1人も含め約20人が参加する。メンバーには、一級建築士や行政で街づくりに携わる人など、様々な人が協力して教会の保全に向けて知恵を出し合っている。
森田師は、「チャリティーコンサートであれ、何であれ、横須賀教会というイエス様の体の一つとしての教会を知っていただき、足を運んでいただいて、礼拝を守るとことや、コンサートに訪れるなどして、イエス様の愛に触れていただきたい」と語る。
上町教会は1903年(明治36年)に、日本福音教会の金子吉之助牧師によって伝道が開始され、1906年(明治39年)に「横須賀福音教会」として設立。その後、関東大震災によって罹災(りさい)。1931年に現在地に教会が建てられた。1941年(昭和16年)に日本基督教団の合同に参加し、「横須賀中里教会」と改称。1959年(昭和34年)に現在の名称になり、03年には戦前に建てられた木造の洋館として同文化財に指定されることになった。
木造の2階建てで、建設当初は平屋建てであった。2階部分は1950年(昭和25年)に増築。外壁は下見張りのペンキ塗り仕上げで、尖塔アーチのデザインが取りいれた上げ下げ窓、勾配がやや急な切妻屋根、通りに面する屋根の上には小さな塔があり、当時の米国の技術が今も原型をとどめている。
コンサートは17時半開場、18時開演で、19時半まで予定されている。入場料は、前売り券1000円(取扱店:ヤジマレコード本店=神奈川県横須賀市若松町1‐5、電話:046・822・0536)、当日券1200円。問い合わせは、同教会(電話:046・822・2594)まで。