【CJC=東京】この2月21日にロシア正教会モスクワ総主教座の救世主ハリストス大聖堂でウラジーミル・プーチン大統領を批判した歌のパフォーマンスをしたとして、宗教的憎悪により秩序を乱した罪で禁錮2年の実刑判決を言いわたされていた「プッシー・ライオット」(子猫の暴動)のメンバー2人が辺境の刑務所に送られたことが明らかになった。
メンバーの1人エカテリーナ・サムツェビッチ(30)は「教会内でパフォーマンスをする前に、まだギターを取り出してすらいなかったのに不当に逮捕された」との弁護側の主張により9月に釈放されたが、マリア・アリョーヒナ(24)はモスクワから1100キロ東のペルミ、ナジェージダ・トロコンニコワ(22)はモスクワから500キロ東のモルドヴィアの刑務所に送られたもの。
ヴィオレッタ・ボルコワ弁護士は「10月20日にナジェジダはモルドヴィアへ、マリアはペルミへそれぞれ移送された」と明かしている。
2人は「モルドヴィアだろうとシベリアだろうと、どこへ収容されようと私たちはただ黙っているつもりはない。そうなれば逆に面倒を被るのはそっちの方だが、それでも良ければどうぞ」と語り、姿勢を変えるつもりの無いことを改めて示した、と伝えられる。
他の主要メンバーの多くは海外へ逃れており、プーチン大統領とロシア政府に抗議を続けるという。
釈放されたエカテリーナ・サムツェビッチは、モスクワ市内で産経新聞のインタビューに応じ、宗教の力を利用して政権の「神格化」を図っている、などとプーチン政権を批判した。
サムツェビッチは、自らの行為を「反宗教的ではない」と訴え、ライブが行われたモ大聖堂を「プロパガンダ発信の中心地」と断じ、正教会トップであるキリル総主教の政権への接近を批判。政教一致を目指すプーチン政権への抗議が目的だったと動機を語った。
また裁判経過についても、「公正なものではなく、(判決までの経過には)かなりの部分で違法性があった」とし、司法の独立が確立されていないとの考えを述べた。