【CJC=東京】「新しい福音宣教」をテーマに10月7日からバチカン(ローマ教皇庁)で開催した第13回通常シノドス(世界代表司教会議)は26日、「神の民へのメッセージ」を採択した。
メッセージは、イタリア語をはじめ5言語で読み上げられ、シノドス・ホールに集った参加司教たちの拍手で迎えられた。
メッセージでは、新しい福音宣教を世界の急務として示し、キリスト者は信仰によって恐れに打ち勝ち、確固とした勇気をもって福音を告げなければならないと、呼びかけている。
バチカン放送(日本語電子版)によると、メッセージの要旨は次の通り。
「神の民」とはヨハネ福音書に登場する「サマリアの女性」にたとえられ、イエスに出会う者は救いと希望の知らせの証し人とならざるをえない。しかしながら、福音を告げるには、自分自身が福音化され、回心していることが大切である。
グローバル化、世俗化、移民現象、無神論などがもたらす困難に負けず、むしろこれらをすべて福音の機会としていかなければならず、新しい福音宣教を考えることは、イエスに人がどのように近づくことができるかを再発見することであるといえる。
シノドスは家庭を福音宣教に適した自然の場所とみなし、それが教会や政治や社会によって支えられることを希望する。家庭における女性の特別な役割、父親の責任を強調すると共に、婚姻関係に無い男女の同居や、離婚者、再婚者に注目。教会の皆を受け入れる家としてのあり方を再確認している。
新しい福音宣教は世界と同様の広がりを持つために、文化・教育・科学、芸術、経済、労働、政治、諸宗教など様々な分野での対話を必要とする。
信仰生活において、新しい福音宣教のために有効な手段として、神の言葉を沈黙のうちに観想すること、キリストの顔を人々の中に見出すための貧しい人々への奉仕が挙げられている。
東方のカトリック教会には平和と宗教の自由の下で信仰生活が営めるように、アフリカには新旧の文化の中で福音との出会いを開拓し、政府に闘争と暴力の停止を訴えるように願っている。
また、北アメリカには福音から遠ざかった文化の中で回心を見つめ、移民・難民に手を差し伸べるように、ラテンアメリカには貧困・暴力・多宗教的状況の中で常なる宣教に取り組むように、アジアでは社会の少数派であるにも関わらず、勇気と固い信仰をもって生きるように励ましている。
ヨーロッパの教会には世俗主義や神や人間に敵対するイデオロギーに負けず、人間の尊厳、共通善の構築を表現する文化を構築し、困難を挑戦の機会と受け取っていくように、最後にオセアニアには福音宣教への取り組みの必要性をさらに意識していくようにと呼びかけている。