11月米大統領選が迫る中、米クリスチャンポスト(CP)はオバマ米大統領および共和党大統領候補のロムニー氏双方の信教の自由に対するスタンスの違いについて報じた。
オバマ米大統領、ロムニー氏双方共に米国民に対し、米国の信教の自由を保護することを誓っている。しかし米国で主な話題となっている宗教的な問題に関するそれぞれの対応に関しては、それぞれ批判の声に直面している。
オバマ米大統領はキリスト教徒の信仰活動の自由を再三宣言しており、自身もキャンプ・デービッドにあるエバーグリーンチャペルの礼拝に出席している。
宗教活動への寛容についてオバマ米大統領は選挙戦広告の中で「変化する世界のただ中にあって、私の使命は信教の自由を保護し、動じない姿勢を貫くことにあります。米国民の多様性が増す中にあって、多元文化社会が私達の国の文化であることを再度確認しなければなりません。多元文化社会では多様な表現の自由を守り、彼らの良心を保護する必要があります」と述べている。
一方米国内の福音主義キリスト教徒からは、オバマ米大統領の同性愛や中絶に関する見解に対して疑問の声が呈されている。オバマ米大統領はこれら二つの宗教的な問題について、伝統的なキリスト教的見解とは異なる見解を示してきた。5月には同性婚を支持し、ビル・クリントン元大統領が調印していた結婚保護法を保護することを拒否した。また妊娠中絶に関しても原則的に認める立場を示している。
一方熱心なモルモン教徒で、モルモン教の宣教師としても奉仕してきたミット・ロムニー氏はオバマ米大統領とは違う立場を示しており、伝統的な男性と女性との間の結婚を保護し、計画出産関する助成金削減など妊娠中絶には反対する政策を掲げている。
ロムニー氏は公式サイトにおいて妊娠中絶反対、伝統的な男女間の結婚を保護する見解を示している。一方中絶問題については、米共和党では母体の危機に直面している以外すべての中絶は違法であるべきだと主張しているが、ロムニー氏は強姦や近親相姦による妊娠の場合の中絶も合法であるべきであると主張しており、共和党内の福音主義者から中絶問題に関して批判を受けている。
なお、米福音主義キリスト教徒の中でロムニー氏を支持する人々の中には、キリスト教の中では異端であり、正しい神に導くことができないとされているモルモン教の候補を支持することに関して、「異端の宗教を正統化してしまうことになるのではないか」と懸念する声も聞えている。