1.確信をもって
信仰は、時間と空間を超越しています。信仰の原則は、「心に疑わないで信じたとおりになる」ということです(同11:22)。
問題の解決を祈り求めていく時、「祈りが聞かれた!」という揺るがない平安が与えられることがあります。「神がすでに解決してくださった!」という確信を持つことができます。
そのような平安と確信を得たなら、もはや問題の解決を祈り求める必要はありません。神に祈りが聞かれたこと、神の御手の中で問題はすでに解決されたことを喜んで感謝しつつ、神に期待していればよいのです。やがて、神の時に神の方法によって、問題の解決が現実のものとなります。
子どもが、自分の父親にオモチャをねだって、「わかった、わかった。そんなに欲しいなら買ってあげるよ」と言われたら、「わーい、パパは必ず買ってくれる!」 と信じて安心するはずです。後は父親を信頼して、オモチャが現実に手に入る時を、楽しみにしていればよいのです。
「父よ、わたしの願いをお聞き下さったことを感謝します。あなたがいつでもわたしの願いを聞きいれて下さることを、よく知っています」(ヨハネの福音書11:41,42)
イエスは目を天に向けてこう言われました。そして、すでに聞かれたという確信をもって「ラザロよ、出てきなさい!」と大声で命じられると、なんと、死んで4日も経つラザロが、生き返って、白い布でまかれたまま墓から生きて出てきたのです!
人間の父親でも子どもの願いを聞いてくれるとすれば、天地万物の創造主である全能の父なる神が、神の子である私たちの願いを聞いてくださることほど、確かなことはありません。
ただひとつの問題は、「願いが聞き入れられた!」という確信が持てるかどうかです。この確信を持つためには、「疑わないで、信仰をもって願い求める」ことです。「かなえられた」と心から信じられるまで、神に祈りつづけることです。
「ただ疑わないで、信仰をもって願い求めなさい。疑う人は、風の吹くままに揺れ動く海の波に似ている。そういう人は、主から何かをいただけるもののように思うべきではない」(ヤコブの手紙1:6)とあるとおりです。
2.団体交渉事件
ある時、経営難に陥っている会社から、バブル好景気中に社員を大量に採用しようとして作った特別優遇制度を変更するため、就業規則改正案を作成して欲しいと依頼されました。その会社の就業規則は、同業他社や業界全体と比較しても常識をはるかに越える優遇制度で、公認会計士から「早急に改正しなければ会社の倒産もありうる」と警告されていたのです。
私が作成した改正案を会社に送ったところ、それが最終決定としてそのまま社員に公表されてしまいました。すぐに一部の社員から、「とんでもない改悪だ!」と、猛反対が起こり、それが全社員に広がって、「説明会を開け!」となったのです。
私は担当部長とともに説明会に出席し、改正しなければ会社倒産の危険もあることを説明しました。ところが、納得しない一部の社員が扇動し、「改正絶対反対!直ちに撤回せよ!」という動きになってしまいました。
私は会社から社員との交渉を一任されましたが、交渉がこじれて労働争議に発展し、これまでの円満な労使関係が険悪になってしまったら大変だという心配がありました。そこで、紛争が円満に解決するようにと、何日も真剣に祈りました。けれども事態はどんどん悪化し、誹謗中傷の怪文書が出回ったり、私への個人攻撃も激しくなっていきました。
いよいよ団体交渉の前日になりました。「大勢の社員の前で吊し上げられるのではないか」という恐れが大きくなってきて、「これではいけない」と思い、夜遅くまで聖書を読みながら、真剣に祈りました。
突然、「祈りが聞かれた!」という確信が湧いてきました。「主は伏兵を設け、かのユダに攻めてきたアンモン、モアブ、セイル山の人々に向かわされたので、彼らは打ち破られた」(第二歴代誌20:22)の聖書のことばを読んでいた時でした。
このことばが、問題の解決に具体的にどのように結びつくのか、また、社員たちにどのように説明し、説得したらよいのかもわかりませんでした。しかし、「神がすでに解決してくださった!」という確信が与えられたのです。
当日は、平安を持って団交に臨むことができました。厳しい表情で居並ぶ各部課の大勢の代表社員たちを前にして、一瞬気持ちがひるみましたが、その時ふと、まず全員の意見を聞いてみようと思いました。
「皆さん一人ひとりのご意見をお聞きしたいと思います」と私が言い終わらないうちに、改正反対のリーダーと思われる社員が立ち上がって、大声でとうとうと反対演説をぶちました。これにつられて次々に、改正撤回要求意見が出されました。会場の雰囲気は、改正反対ムードでいっぱいです。このままいけば、全員が改正反対意見を述べるのではないかと思われました。
ところがです。半数ほどの社員が意見を述べたあたりから、風向きが変わり始めたのです。ある社員が勇気をもって、「私は改正に賛成だ! 改正しないで経営が悪化して他社との競争に負けて倒産すれば元も子もない。目先の利益にとらわれず、将来を見越して会社と社員全体の利益を考えるべきだ!」と発言しました。次々に改正賛成意見が出され、反対派と大激論になったのです。
ついに、私が一言も意見を述べないうちに、「賛成派」が「反対派」を説得してしまいました。そのようなことになるとは、全く予想していませんでした。その後、この会社は、一人も社員を退社させることなく、経営危機を脱し、順調に発展しています。
3.神の最善の解決策
もしムードに押されて全社員が結束して反対していたら、会社としては改正を撤回せざるを得なかったかも知れません。逆に、交渉が決裂し、会社が撤回せずに改正を強行していれば、大きな労働争議になったり、社員の労働意欲が落ちたりして、倒産に至ったかも知れません。「社員同士がお互いに議論し、話し合って結論が出される」という最善の解決策を、神は持っておられました。
このように、「すでにかなえられた!と信じるなら」、神の最善の解決策を引き出すことができるのです。
・・・「あなたの道を主にゆだねよ。主に信頼せよ、主はそれをなしとげ、あなたの義を光のように明らかにし、あなたの正しいことを真昼のように明らかにされる」(詩篇37:5,6)
佐々木満男(ささき・みつお)
国際弁護士。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。インターナショナルVIPクラブ(東京大学)顧問、ラブ・クリエーション(創造科学普及運動)会長。
■外部リンク:【ブログ】アブラハムささきの「ドントウォリー!」