【CJC=東京】ドイツ・カトリック司教協議会は9月20日、教会税を納入しない信徒は今後、さまざまな秘跡を受けられず、また教会の諸活動に参加出来ない、という指令と司牧書簡を発表した。
ドイツ市民は、カトリック、プロテスタント、またはユダヤ教徒であると申告すると、その所属教会を維持するため、所得税の8~9%を付加税として徴収される。
この「教会税」は、市民が税務事務所に、教会を離脱した、と申告すると、課税はされなくなるところから、最近申告者が増えている。
カトリック教会は、教会税50億ユーロ(約52億円)で運営されているところから、離脱者が増えることは重大関心事。
今回の指示は、バチカン(ローマ教皇庁)の承認を受けたものだが、その中で司教協議会は、カトリック教会から離脱する者は、臨終の際の「病者の塗油」以外の秘跡を受けられない、と宣言している。
また離脱者は、教会やカトリック系の学校や病院などで働くことも認められない。教会が運営する慈善団体や聖歌隊での活動も出来ない。
司教協議会会長のロベルト・ツォリッチ大司教は、「公的な行いによって教会を離脱する人にはそれなりの結果があって当然だ。はっきりしていることは、その人たちは、教会員であり続ける人のようには利益を受けられない」と24日の記者会見で語った。「ローマがわたしたちの立場を完全に承認してくれたことを歓迎している」と言う。
大司教は、個々人の離脱を「教会には苦痛」と語った。司教たちは、多くのカトリック者が決定の重要性に気づかないことを懸念している、と言う。
『ディーヴェルト』紙は「カトリック教会は、失われた一人ひとりを捜し求める義務がある」と大司教が語ったと報じている。
「問題は教会の秘跡としての本質の信頼性だ。人は半会員とか部分会員などにはなりえない。教会に属し関わるか、それを放棄するかなのだ」と言う。
カトリック者はドイツ総人口8230万の3割で、プロテスタントと同じ割合。正教徒は2%。
ドイツ出身の教皇ベネディクト16世が2005年に選出されて以来、カトリック教会への関心は高まったものの、教会での洗礼や結婚は減少を続けている。カトリック者で毎週ミサに出席する人は13%。1989年の調査では22%だった。
教皇の3回にわたる母国訪問にも関わらず、聖職者と修道者も減少している。
教会税の納入をやめ、登録教会員でなくなった人は2011年、27教区で12万6488人。10年は18万人だった。
ドイツ各紙は、教皇の出身地バイエルン州での減少が最高と報じている。アウグスブルク、バンベルク、アイヒシュタット、パッサウ、ヴュルツブルクの各教区では2010年の離脱者が7割増加したが、聖職者の性的虐待が続発したことが影響した、と見ている。