自殺者が9年連続で3万人を超える現代日本の異常事態を受けて、内閣府と民間団体「自死遺族支援全国キャラバン実行委員会」が1日、シンポジウムを開催した。会場の東京ビッグサイト(東京都江東区)には約600人の参加者が集まり、父親を自殺で亡くした大学生の講演や自殺者削減に取り組む専門家たちの話に、真剣に耳を傾けていた。
シンポジウムは、昨年10月に自殺対策基本法が施行されてから官民合同で行う初めての企画。「自殺を語ることのできる死へ」を主題にしたパネルディスカッションでは、毎年あとを絶たない生活苦からくる自殺を防ぐため、特に多重債務者に対する自殺対策について討論した。
パネリストからは、「心に寄り添わなければ、本当に必要な支援ができない」「実質的な支援だけではなく、心のケアが必要だ」との意見があり、物質的な援助によっては解決せず、心の債務を周囲の者が共に背負っていくことが必要との意識を改めて共有した。
講演した福岡県私立大3年の桂城舞さんは、自殺した父親のことを誰にも話せず、孤独に苦しみながら自分を責め、自ら死を望むほどの心の痛みを体験したことを告白し、「同じ痛みを持つ者の心を感じて、ケアを行っていきたい」と涙ながらに語った。
同委では今後、遺族支援や関係者のネットワークを強化するために、全国を巡って各地方自治体と協力しながら自殺対策のシンポジウムを開催していく。すでに20カ所以上の都道府県で開催準備を進めており、今月15日には秋田での開催を予定している。
人生の真の価値観を見出せず、自己の命を絶たなければならないほどに迷い、苦しみ、絶望する人々と共におられるイエス・キリストをどう証ししていくか。自殺大国・日本でキリスト者が果たすべき役割の大きさが浮き彫りとなった。