【CJC=東京】ローマ教皇ベネディクト16世が9月14日、特別機で中東レバノンの首都ベイルートに到着した。空港ではミシェル・スライマーン大統領はじめ同国の政府要人および教会関係者らが教皇を出迎えた。隣国シリアの内戦に加え、イスラム教の預言者ムハンマドを侮辱する映像作品に端を発した緊張が中東全域で高まる中、3日間の訪問。
バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇は、機内で記者団に、内戦が激化するシリア情勢に関連して「武器を輸出するのは重大な罪だ」と述べ、即時中止を求めた。また「アラブの春」は「自由と民主主義を求める若者の叫びだ」と評価しつつ、「過去の革命の歴史は、憎しみを生み続ける危険性があることを我々に教えている」と述べた。
今回の訪問は、2010年10月にバチカンで開催された「中東のためのシノドス」後の指針となる「使徒的勧告」に教皇が署名、それを司教らに託すことを主な目的としている。
同国の大統領とカトリック司教団双方の招待を受けたこの訪問は、「中東のためのシノドス後の使徒的勧告」への署名とその公布があるとし、中東と全世界に向けられたこの使徒的勧告が、教会の今後の歩みの指針となるよう期待を表明した。