【CJC=東京】第36回モントリオール世界映画祭(カナダ)で9月3日、高倉健主演の映画「あなたへ」(降旗康男監督、英語題名「デアレスト」)が主要賞の受賞はなかったものの、キリスト教関係の審査員が選ぶ「エキュメニカル賞」特別賞を受賞した。コンペ部門のグランプリはトルコ映画「ホエア・ザ・ファイア・バーンズ」。工藤夕貴が出演した日本・カナダ合作映画「カラカラ」(クロード・ガニオン監督)が「世界に開かれた視点賞」と、カナダ映画に対する観客賞を受賞した。高倉は1999年に「鉄道員(ぽっぽや)」で最優秀男優賞を受賞して以来の同映画祭での受賞。
エキュメニカル賞は1974年の「カンヌ映画祭」から公式審査の他に、キリスト教映画制作者、批評家などの関係者の働き掛けで実現した審査制度。「人間の神秘的な深みを、その希望だけでなく傷、失敗なども含めて表現するフィルムの力を示す芸術的な質を持った作品を顕彰する」ことを目的としている。今回、本賞はドイツ・イスラエル合作の「季節の終わり」(仮題、フランチスカ・シュロッテラー監督)が受賞した。
エキュメニカル賞審査員は6人。カトリック側はSIGNIS、プロテスタント側は「インターフィルム」が指名する。カンヌの他、ベルリン、ロカルノ、モントリオール、カルロビバリの映画祭でもエキュメニカル賞が設定されている。
SIGNISは2001年、メディアを使って、キリストの福音を広めようと活動しているカトリック2団体が合併設立された。
インターフィルムは1955年、独、仏、蘭、スイスのプロテスタント映画関係者によって設立された。今日では聖公会、正教会、ユダヤ教関係者も参加、世界教会協議会(WCC)の関係団体になっている。