【CJC=東京】身元不詳の作業員が9月6日深夜、モスクワ東部コシノ・ウクトムスキー区にある「聖三一ペンテコステ教会」の取り壊しを始めた。ワシリー・ロマニュク牧師が『フォーラム18』通信に語ったところでは「朝までに3階建ての教会堂が破壊された」。
人権擁護関係者は教会員たちは、突然の取り壊しに衝撃を隠せない。「苦情調査官」(オンブズパーソン)のミハイル・オディントゥソフ副調査官は「深夜に掘削機を持ち込むとはソ連当時のやり方だ。認められるものではない」と『フォーラム18』通信に語った。
同教会は、自費で1995年から96年にかけて建設した教会堂の認可を得るために努力して来たが、東部行政区のアンドレイ・イワノフ報道担当は、「全ては裁判所の決定によるもの」と、取り壊しを正当だとしている。
オディントゥソフ氏は、教会員から電話があった、ウラジミル・ルキン調査官に書類を提出する、と語った。
聖三一教会は1979年、セラフィム・マリン氏が創設した。同氏はペンテコステ派の信仰を理由に18年間、強制労働収容所に収監されていた。教会が当局から登録を認められたのは1970年末のこと。しかし当局は95年に立ち退きを強制、教会側は翌年にかけて「仮」教会堂を建設したが、それが今回取り壊された。
当局は会堂の認可を拒否し続け、上下水道や電気設備を認めなかった。そこで教会側は接収されないよう自営策を立てていたが、今回の不意打ちとなったもの。
ロマニュク牧師は、物音に目覚め、取り壊しを阻止しようと駆けつけたが遅かった。「作業員たちは身分を明らかにしないどころか派遣主のことも話さなかったし書類も見せなかった。ただ警察が保護していたことは確実で、当局がやったことに間違いはない」と言う。次週の日曜礼拝は瓦礫になってしまった跡地で行う、と語った。
教会員の懸念は自分の教会だけに留まらない。これが前例になって、賃貸借契約を一方的に破棄し、教会堂を押収する可能性がある、と言う。