【CJC=東京】スペイン北東部ボルハの教会の柱にイエス・キリストが描かれていた約100年前の絵画を、80代のアマチュア女性画家セシリア・ヒメネスさんが善意で「修復」したところ、全く異なる絵になってしまった。
この絵は、スペイン人画家エリアス・ガルシア・マルティネスが1910年に描いた「この人を見よ」。特に名画とはみなされていなかったが、マルティネスは教会の柱に直接絵筆を走らせ、十字架にかけられる際にいばらの冠をかぶって天を見上げるキリストの姿を2時間で描きあげたと伝えられていた。
ヒメネスさんは、原画の上に直接、絵を描いた。しかも「修復された」絵は、子どものお絵かきのような目にマンガめいた鼻がつき、血の気のない顔の周りをサルのように毛皮が覆っているかに見えるものだった。
地元の宗教的美術作品を管理する団体が8月上旬に、絵が「修復」され、全く違う絵のようになってしまったのを発見した。
ヒメネスさんは「何年もかけて修復してきたけれど、完成を目前にしてあきらめなければならなかった」などと、つじつまの合わない説明をしているという。
スペイン国内メディアで大々的に取り上げられたこの「修復」問題、ニュースサイトやSNSでも「国民的ジョーク」扱いでユーザーからのコメントが殺到しており、静かな町だったボルハを訪れる人が数百人規模に急増している。
公共テレビ放送のインタビューに、ある女性は、「以前の絵も大変素晴らしかったけれど、わたしは本当にこれ(修復後の肖像画)が気に入っています」と語った。
原画を復元する計画を思いとどまるよう求めるオンライン嘆願書も既に1万8000人の署名が集まっているとか。