【CJC=東京】戦車や小型兵器など通常兵器全般の輸出入規制を目指した武器貿易条約(ATT)国連会議は、194カ国が参加してニューヨークの国連本部で4週間にわたり行われたが、期限の7月27日までに合意に達しなかった。条約案は国連総会に報告され、引き続き交渉は続くとも見られる。
最大の武器輸出国である米国が、大統領選を控えオバマ政権が国内の銃規制反対論に配慮した。議長案は、弾薬を規制品目から外し、国際人権法など取引の許可基準運用を各国の判断に委ねる方針を強調するなど、米国の主張にほぼ沿った内容だったが、米国は27日午前の会議で、「時間が足りない」と議長案への不同意を表明。第2の武器輸出大国・ロシアも採択の先送りを主張した。北朝鮮やキューバまでが相次いで同調した。
会議は全会一致が原則で、ロベルト・ガルシア・モリタン議長(アルゼンチン)が27日夕、「より良いフィナーレでないことを残念に思う」と述べ、全会一致での合意が見通せないとして、条約案の採決をしなかった。
条約案をベースにした交渉継続を求める共同声明を約90国が発表した。
世界教会協議会(WCC)、世界福音同盟(WEA)、国際パックス・クリスティ、カリタスが7月20日、武器貿易条約(ATT)国連会議に参加した各国が、違法な武力抗争が日々行われ、犠牲者が教会運営の病院や教会境内に運び込まれる現実を、人間が犠牲になっている「コスト」、と諸教会と教会員が証しする、と言う趣旨の共同声明を発表、同条約の成立を呼び掛けていた。