【モスクワ=ENI・CJC】ロシア正教会モスクワ総主教キリル1世は、7月15日、ポーランドの陸軍将校や知識人数千人がスターリンの秘密警察によって1940年に虐殺された森の近くに建設された教会の奉献式典で挨拶した。総主教は、ロシア人も数千人虐殺されたことを想起、現地はロシア人とポーランド人を結びつける場所として用いられなければならない、と語った。
2万2000人が殺害された事件は、ポーランド国境近くのスモレンスク地方の森にちなんで「カチン大虐殺」と呼ばれている。1940年に殺害されたポーランド人の大多数は正教会の信徒。ポーランドの正教徒は同国最大の少数派。
長年の間、旧ソ連はポーランド軍を縮小させた大虐殺の痕跡を覆い隠し、ナチスの仕業と主張していた。ソ連解体後も、殺害の全容を認めず、また犯罪であるとしてロシアが謝罪しないまま、ポーランドの怒りを買ってきた。
2010年には、ポーランドのレフ・カチンスキ大統領らが記念式典に出席のために乗っていた飛行機が墜落、大統領やタデウス・プロツキ司教や正教会のミロン・チョダコフスキー主教らが犠牲になるという悲劇もあった。
キリル総主教は、カチンで死去したポーランド軍従軍司祭のセミヨン・フェドロンコ首司祭を称賛した。記念式典には、曾孫が参列していた。
「彼はモスクワに送られて尋問を受け、正教徒だったため、その霊的子どもを裏切ることを要求された。同意して生き延びることは簡単だったが、自分は司祭であり、1人のキリスト者だ。その子を元に戻すべきだ、と述べたため、他のポーランド人将校と一緒に射殺された」と述べた総主教は、この記念の場がロシア人とポーランド人を結びつけるものとならなければならない、と語った。
「カチンがわたしたちの共有する、悲劇の恐ろしいシンボルであることを認め、そのことを理解する中で、双方がカチンの悲しみと悲劇を耐え忍んできた兄弟姉妹として手を差し出す時が来たことを確信する」と言う。