【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)の非公開文書がこの1月、大量流出した事件は、「バチカン」と「リークス(漏えい)」を合わせた「バチリークス」という造語で呼ばれるまでになった。
伊紙『イル・ファット・クオティディアーノ』のバチカン専門マルコ・ポリティ記者は「流出した文書は、すべて何らかの形でタルチジオ・ベルトーネ枢機卿に関するもの」だったとして「今回の流出は彼に打撃を与え、新しい国務長官に後退させようとする動き」だとAFP通信に語っている。バチカン内部に、ベルトーネ枢機卿が権力を乱用し、カトリック教会の利益にならない行動を取っていると批判する声があるという。
流出した文書は教皇べネディクト16世のデスクから直接持ち出されコピーされた。
ベルトーネ枢機卿はベネディクト16世の側近だが、特に「宗教事業協会」(バチカン銀行)の資金洗浄疑惑などで、バチカン行政における不透明性にからみ権力を乱用しているとの批判もある。
20人ともされる内部告発者の一掃にバチカンが動き、内部文書を保持していたとしてベネディクト16世の秘書パオロ・ガブリエレ補佐官を逮捕した。さらに教皇身辺の人物を取り調べているという。