【CJC=東京】バラク・オバマ米大統領が窮地に立たされている。5月29日、ナチス・ドイツの強制収容所でのホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の実態を世界に伝えたポーランド出身の対独抵抗活動家、故ヤン・カルスキ氏(1914~2000)に文民最高位の勲章「大統領自由勲章」を授与した際に、「ポーランドの死の収容所」と表現したことに、同国で反発が広がったもの。
ポーランド側は、大統領の言葉の選び方に不快感を示し、米政府は意図的ではなく、単なる言い間違いだとした。しかしポーランド側の怒りは収まらず、ドナルド・トゥスク首相は30日、オバマ発言を「苦痛に満ちたもの」で歴史をゆがめるものだとし、「アメリカの友人たちがより強い反応を示せると確信している」と述べ、謝罪を要求した。
ポーランドでは、当時の収容所を「ポーランドの」と呼ぶことに敏感だ。
ナチスはアウシュビッツ強制収容所などポーランドにも収容所を設置、ポーランド人も多数が犠牲になったのに、「ポーランドの」との表現ではポーランドに責任があるかのような印象を与えるため。