米国の音楽業界では創造的なアルバムの制作のため、プロジェクト資金調達のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「キック・スターター」を利用してファンたちから資金を集めることが流行となっている。
ニューヨークタイムズに掲載されたグラフによると、過去3年余りの間に音楽CD制作のために寄付された金額は3800万ドル(約30億4200万円)に上り、7545枚のCDが平均5140ドル(約41万円)の寄付によって制作された。なお、映画やビデオ制作に対しては6000万ドル(約48億400万円)もの寄付があった。
多くのアーティストたちはミュージックアルバムやビデオ制作の資金を集めるためにキック・スターターを利用しており、ファンや支援者たちは芸術を創造するアーティストたちと同じほどの権限をもつ重要な存在となっている。
クリスチャンロックバンドのファミリー・フォース・ファイブはこのほど、「ZOMBIE」のミュージックビデオの資金を集めるためにキック・スターターを利用。当初の目標は1万ドル(約80万円)の調達だったが、369人の支援者を通じて2万7798ドル(約223万円)が集まった。
オルタナティヴロックバンド、スポークンの新たなCD制作に対しては募金終了日まで26日間を残して、既に228人のファンたちから当初の目標1万ドルを上回る1万1317ドル(約91万円)の寄付が集まった。3姉妹のポップロックトリオ、エバーライフはアルバム「At the End of Everything」の制作費2万5000ドル(約200万円)の資金集めを積極的に行っている。
キック・スターターを通して音楽CDの制作費を最も多く集めたのは、ニューアルバムの制作のために1週間以内に49万ドル(約3920万円)を手にしたアマンダ・パーマーだ。
キック・スターターは3年前、米ニューヨークのリビングルームで3人の創設者による小規模なグループとして始まった。現在は様々なビジネスの方法を一変させ、大きく成長している。キック・スターターはこれまで5万件のプロジェクトのうち44パーセントを成功へと導いており、2万件のプロジェクトに対して合計2億ドル(約160億600万円)以上の資金調達に貢献してきた。