日本のクリスチャン人口1%の壁を破るにはどうすればよいのか。日本バプテスト連盟・横浜山手バプテスト教会の金学根牧師の呼びかけで、神奈川県の牧師や伝道師など牧会に携わる人々を対象にした牧会者研修会が11日、同教会で行われた。神奈川バプテスト連合に加盟する教会の牧師を中心に、山手バプテスト教会の信徒らも含め15名が参加。熱心なクリスチャンとしてビジネスマンの視点から多くの人々に影響を与える元カネボウ化粧品会長の三谷康人氏、総動員伝道代表として全国を走り回る日本基督教団・赤坂教会主任牧師の姫井雅夫氏が講師をつとめた。
姫井氏は講演で、牧会者が時代や環境の変化に応じて臨機応変な対応を取る必要があると研修会の趣旨を説明した。
三谷氏は、約千人を対象としたギャラップ調査や同師も参加する「エリア会」が行った調査をもとに、日本ではキリスト教に対して好意を抱いている人が多い一方、教会は高齢化などで危機に瀕している現状にあるというギャップを指摘。その原因として、教会の関心が内側だけに向いている、信徒による伝道がされていない、教会の敷居が高いことなどを挙げ、日本の教会が現状維持の姿勢に傾いていることを強調した。
その上で教会が、内側ばかり見る自己中心の視点でなく神中心の視点、ノンクリスチャンの立場に立った視点を持つ必要があると訴えた。同様の発想で視点を切り替え、来園者が26万人から304万人にまで成長した旭山動物園や、ノンクリスチャンのデザイナーを用いてチャペルのポスターを作製した西南学院など、多数の成功例を紹介した。
「真理は変わらないが方法はいくつでもある」と三谷氏は、ビジネス界でよく使われる「現在の延長線上に明るい未来はない」などの言葉を挙げながら意識改革の必要を訴えた。最後に、迫害下のなかでも急成長した中国の「愛の教会」を取り上げ、結局は「神を愛すること」「隣人を愛すること」を実践したキリストの愛を実行するかどうかだとまとめた。
牧会者同士の研修会ということでテーブルは円形に。講演中も参加者から質問、意見が出た。一般信徒の参加者は「教会の敷居が高い」との指摘に共感。またある牧師は、「まずは、牧師が変わらなければならないということを改めて感じた」と感想を語った。
研修会を主催した金氏は、「教会が変わらなければ、日本の社会が変わらない。教会が変わるには、日本の牧師が変わらなければならない」と述べ、今後は牧師の意識改革に焦点を当てながら、他の活動も企画していきたい考えを示した。