米国に本部を置くキリスト教迫害監視団体オープン・ドアーズは米ワシントンDCのナショナルプレスクラブで5月3日、世界中のクリスチャンが直面する迫害と宗教に不寛容な国々の問題に関するパネルディスカッションを開催する。米クリスチャンポスト紙(CP)が報じた。
同パネルディスカッションの参席者にはオープン・ドアーズ会長のカール・モエラー氏をはじめ、ハドソン研究所のニーナ・シェイ氏、ユダヤ人人権団体サイモン・ヴィーゼンタール・センター副所長のアブラハム・クーパー氏、同センター異宗教間問題ディレクターのイツハク・アドラーステイン氏らが含まれている。
イツハク・アドラーステイン氏はオープン・ドアーズのプレスリリースの中で、「中東のクリスチャンは我々のこの時代、新たなユダヤ人となった。我々は信仰をもつ全ての人々、また全ての米国人に対して、中東とアフリカの難問を抱えたクリスチャンと異なる信仰をもつ人々に対する暴力の問題について呼び掛けたい」と語っている。
オープン・ドアーズは毎年、クリスチャンに対する迫害が激しい国をまとめた『ワールド・ウォッチ・ リスト』を発表しており、1月に出された2012年版ではクリスチャンに対する迫害国トップ10として、北朝鮮、アフガニスタン、サウジアラビア、ソマリア、イラン、モルディブ、ウズベキスタン、イエメン、イラクおよびパキスタンを挙げている。
また、国際宗教自由に関する米国委員会(USCIRF)も今年、『宗教の自由弾圧特別関心国』リストを発表し、エジプト、エリトリア、イラク、イラン、ナイジェリア、パキスタン、サウジアラビアおよびスーダンを、クリスチャンの人権を特に無視している国に指定している。
モエラー氏はプレスリリースの中で、「エジプトやナイジェリアのような場所で深刻な人権侵害が行われている今、我々はそれを傍観していることはできない。それらの国々では既に何千ものイスラム教によるテロが起こっている。我々は今、早急に声を上げる必要がある。我々は全ての危険に晒されている信仰者の信教の自由のために戦わなければならない」と述べている。
中東とアフリカでは近年、人権侵害がエスカレートしてきている。イラン人牧師ユセフ・ナダルカニ氏は2009年10月にイスラム教への背教を理由に逮捕されて以来、拘束され続けている。
エジプトでは昨年10月、26人のコプト教徒が「マスペロ大虐殺」と呼ばれる悲劇の犠牲となった。その日、何百人ものコプト教徒が9月末に起こった南部アスワンの教会襲撃に対する抗議活動のため集まっていた。
平和的な抗議者たちは26人のコプト教徒の死をめぐって、エジプト軍部と衝突した。伝えられるところによると、衝突の最中、イスラム過激派がコプト教徒への攻撃に参加し、軍用車両が直接抗議者たちの中に突入したという。
ナイジェリアでは昨年のクリスマス、イスラム過激派組織ボコ・ハラムが多数の教会を襲撃し、少なくとも35人が犠牲となった。イスラム教テロ組織は同国のクリスチャンに対して度々攻撃を仕掛けている。